NEWS / HEADLINE - 2019.3.5

新作は150点。「瀬戸内国際芸術祭2019」の参加作家と作品、プロジェクトの全貌が明らかに

前回の2016年には年間約104万人が訪れた、3年に1度・日本最大規模の国際芸術祭「瀬戸内国際芸術祭」。3月5日に行われた会見のなかで、2019年の参加作家と作品、プロジェクトの全貌が発表された。

出品作家(一部)と北川フラム

 芸術祭の開催が島の将来の展望へとつながってほしい。この目的を「海の復権」として掲げ、2010年より3年に1度行われてきた「瀬戸内国際芸術祭」。『ニューヨーク・タイムズ 』でも「2019年に訪れるべき場所」として日本から唯一ランクインするなど、国内外から瀬戸内地方が高い注目を集めるきっかけとなったこの芸術祭が今年も開催される。

 そしてこのたび、4月26日の開幕に先立ち東京で記者会見が行われ、総合キュレーターの北川フラムが参加作家と作品、プロジェクトの全貌を発表した。

 今回の芸術祭での出品作品は約280点。そのうち130点がこれまでの同芸術祭で発表された既存作品であり、150点が新作となる。直島、豊島、女木島、男木島など、14の拠点で発表される新作。そのなかから、前回の会見では紹介されなかったいくつかの作品をピックアップして紹介する。

女木島(めぎじま)

 その昔、鬼が住んでいたと伝えられていることから、別名「鬼ヶ島」の名でも呼ばれる女木島。ここでは宮永愛子、KOURYOU、レアンドロ・エルリッヒらが、「島の中の小さなお店」プロジェクトとして、島の住人たちにとっては便利で、他所からの来島者にとっては特色あるスポットとなるような、個性ある「小さなお店」としての作品を展開する。

梁家泰(リョン・カータイ)+赤い糸 《ウエディングショップ》イメージ

 梁家泰(リョン・カータイ)+赤い糸は、「女木島という社会での結婚の意味の移り変わりを読み解き、人と人との多様な関係性を結婚と同じように祝福し、島に取り戻す」というコンセプトのもと、芸術祭にあわせてウエディングショップをオープン。この作品を通して参加者は、じっさいに結婚式を挙げることができるというユニークなものだ。

山下麻衣+小林直人 《世界はどうしてこんなに美しいんだ》イメージ

 また、山下麻衣+小林直人は、「世界はどうしてこんなに美しいんだ」という言葉が自転車の車輪に光って浮かぶ自転車に乗り、夕日の沈みゆく瀬戸内の海を背景に走るインスタレーション作品を発表。古書店を模した読書ラウンジも併設する本作では、鑑賞者に「世界の美しさ」を考察する時間を与える。

男木島(おぎじま)

 男木島では、遠藤利克、大岩オスカール、グレゴール・シュナイダー、村山悟郎、ひびのこずえらが作品を発表。

グレゴール・シュナイダー 《未知の作品 2019》イメージ

 グレゴール・シュナイダーは、空き家の多いエリアに、男木島の周囲をかたどった形の黒いトンネルを出現させる。《未知の作品 2019》と題された本作は、不在、存在、未知といったキーワードを通して、鑑賞者を未知なる体験へと誘う。

遠藤利克 《Trieb −家》イメージ

 焼成した木や土、水などの素材を用いて物質の根源的な意味を問う作品を制作する遠藤利克は、朽ち果てた家屋を舞台とした作品《Trieb −家》を発表。サイトスペシフィックかつ大規模な作品の迫力に注目したい。

小豆島(しょうどしま)

 目、ドットアーキテクツ、ヤノベケンジ、ジョルジュ・ルースら約40組が作品をする小豆島は、瀬戸内海で2番目に大きく、自然と文化が調和した島だ。

王文志 《小豆島の恋》イメージ

 小豆島の島民なら誰でも知る「オリーブの歌」という歌。2010年から毎回小豆島で作品を制作する王文志(ワン・ウェンチー)は、同島に着くたびにこの歌のことを思い出し、今回の作品テーマの発想のひとつとしたという。今回発表する《小豆島の恋》は、作品を3つの空間に分け、これまでつくった3作品の象徴や記憶をそれぞれの空間に表す。

高松港周辺

 各会場への玄関口としてもっとも利用される高松港では、「北浜の小さな香川ギャラリー」として、現代美術作家や工芸作家が香川県の特産品を題材・素材とする美術作品を展開する。

KOSUGE1-16 《LEFTOVERS》イメージ

 土谷享、車田智志乃からなるアーティストユニット「KOSUGE1-16」は、高松市庵治町で産出され、日本三大花崗岩である「庵治石」の工房で発見した副産物=切れ端や破片に着目。それらを素材に制作したシャンデリアを発表する。

金氏徹平 《S.F(Smoke and Fog)》イメージ

 プラスチック製品や雑誌の切り抜き、おもちゃなど身の回りの物を収集し、コラージュ的手法で作品を制作する金氏徹平は、大型看板型の作品写真、屋島から見える採石場の石と建材の破片を使った彫刻、木と水道管を接続した彫刻などによるインスタレーション作品を発表。《S.F(Smoke and Fog)》と題されたこの新作は、屋島や、そこから見える瀬戸内の風景、人為と自然のかたちや空間の関係性などから着想したという。

 このほかに、各種イベントや、さらに力を入れた「食」にも期待が集まる「瀬戸内国際芸術祭」。

今年は「食」にもさらに力を入れる予定だという

 北川は、「いかなる地域や人々を排他することなく、芸術祭を通して様々な国と地域がつながることが目標。そして、地域の力をアーティストが再発見し、アーティストと地域の人たちが協働することで、地域の魅力を再発見する場」として、芸術祭の意義を示すとともに、約4割がリピーターとなって再訪するこの芸術祭を「ひとつの島につき半日〜1日をかけて巡ってほしい」と呼びかけた。

 春、夏、秋の3期にわたって開催されるこの芸術祭で、瀬戸内の魅力に触れてほしい。