1941年頃からともに活動を始め、「イームズチェア」などの色あせないデザインで知られるチャールズ&レイ・イームズ夫妻。彼らが設計し、生涯を過ごしたアメリカ・ロサンゼルスの住宅兼スタジオ「イームズハウス」に焦点を当てた展覧会「イームズハウス:より良い暮らしを実現するデザイン」が開催される。
「イームズハウス」は、戦後に需要が増大した住宅の大量供給のモデルを提案するため、アメリカの建築雑誌『arts & architecture』が45年から66年にかけて掲載した36のケース・スタディ・ハウスの8番目としてイームズ夫妻が設計したもの。現在は、長期的な保存改修計画である「250年プロジェクト」が進行中で、2014年にその第1ステージが完了した。
本展では、20世紀の名作住宅のひとつである「イームズハウス」のデザイン思想を読み解くとともに、夫妻がイサム・ノグチらを介して日本のデザイン界と交流し、相互に影響しあったエピソードなどを紹介。模型や図面、資料のほか、映像記録や夫妻による映像作品を展示する。
デザインはより良い世界をつくるためにあると考え、機能性や合理性を備えたデザインを追求したイームズ夫妻。「DESIGN FOR LIVING」の思想に基づき、使う側の身になって考えるそのデザインの過程は、「イームズハウス」の初期案である「ブリッジハウス」やそれと並行して進められていた椅子の開発の軌跡にも見てとることができる。
イームズ夫妻の、生涯にわたる生活と創作の舞台となった「イームズハウス」の思想に触れることができる本展。2人のデザインと思想を、改めてたどってみたい。