アルヴァ・アアルトは1898年フィンランド生まれの建築家。ヘルシンキ工科大学で建築を学び、1923年に建築事務所を設立。33年にパイミオ(フィンランド)のサナトリウムを設計し、モダンでありながら細やかな空間デザインで高い評価を得る。これが出世作となり、その後次々に図書館やホール、個人邸などを手がけていく。
プロダクト・デザイナーとしても知られるアアルトは、35年に妻・アノイや友人らと共に、世界の優れた家具などを紹介し販売するアルテック社を設立。自らもプロダクトの制作に力を注ぎ、曲げ木の椅子や流線型のガラス器はいまでも高い人気を誇っている。
そんなアアルトの仕事を包括的に紹介する展覧会が、神奈川県立近代美術館 葉山、名古屋市美術館と巡回し、今回東京ステーションギャラリーで開催される。
本展では、オリジナルドローイングや模型のほか、家具・照明・ガラス製品など計300の作品を8つの章に分けて紹介する。また、人の暮らしに寄り添い、隅々のディティールまでデザインしたアアルトならではの壁面タイルやドアノブ、照明器具などの部材サンプルも展示。大きな建築から生活の細部にいたるまで、徹底したアアルトのこだわりを見ることができる内容となっている。
「人々の暮らしをより豊かにする」という考えに基づき、フィンランドの豊かな自然に見出した有機的なフォルムを建築の設計やプロダクトデザインに取り入れたアアルト。本展は、500に及ぶ設計やプロジェクトに携わり、いまやフィンランドデザインのシンボルとなった建築家の魅力を再発見する絶好の機会と言えるだろう。