2015年3月に急逝したイラストレーター・画家の金子國義。その画業を振り返る展覧会が、東京・渋谷のBunkamura Box Galleryで開催される。
金子國義は1936年生まれ。59年に日本大学芸術学部を卒業後、デザイン会社に勤めるも3ヶ月で退社。65年頃に澁澤龍彦と出会ったことをきっかけに、本格的に画家としての活動をスタートすることとなる。
高度経済成長の只中で、澁澤龍彦をはじめ寺山修司や四谷シモンなど、日本の前衛芸術を切り拓いた寵児たちとともに活動した金子。74年には代表作の絵本『ふしぎの国のアリス』がイタリア・オリベッティ社から刊行され、その後も舞台美術や衣装デザインなど、幅広い仕事を手がけた。
金子は、2015年2月にBunkamura Galleryで自叙伝『美貌帖』の出版を記念する個展「美貌の翼」を開催。そのおよそ1ヶ月後に急逝した金子にとって、最後の発表の場となった。
そして、同ギャラリーで開催される今回の個展。モチーフとして描き続けた「アリス」や独特のエロティシズムに至るまでの全貌を、貴重な油彩やドローイング、版画で紹介する。没後も多くの人を魅了してやまない金子の、優雅で贅沢な世界観を楽しみたい。