2018.6.15

「木原文庫」の優美な美人画コレクションを堪能する。「うるわしき美人画の世界」展が岩手で開催

木原眞人の審美眼のもとに集められたコレクション「木原文庫」の魅力を紹介する展覧会「うるわしき美人画の世界—木原文庫より―」が岩手県立美術館で開催される。会期は2018年6月30日〜8月19日。

上村松園 志ゃぼん玉 1903頃 木原文庫蔵
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 「木原文庫」は、埼玉県在住のコレクター・木原眞人が所蔵する近代日本画コレクション。少年期より近世・近代の文学に親しんだ木原は、職を得たのちに、この時代を彩った文学者の直筆資料や画家の作品の蒐集に努めてきた。やがて日本画の線描の精妙さや美しさに惹かれ、近代日本画、とりわけ美人画を多く収集するようになる。それが「木原文庫」と称されるようになった。

菊池契月 暄風 制作年不詳

 本展は、そんな「木原文庫」の魅力を、同コレクションから選りすぐりの約100点の作品を通して紹介するというもの。第1部では、江戸情緒を色濃く残す繊細な女性表現を得意とした鏑木清方や、艶麗な美人画で知られた女流画家・島成園の作品を中心に、江戸期から昭和期に至るさまざまな美人画を紹介しつつ、日本画における女性表現の魅力を探る。

 また、「木原文庫」には美人画のみならず、近代日本画の優品も多く含まれる。第2部は明治、大正期の日本画の名手として知られる横山大観、竹内栖鳳、冨田溪仙らの風景画や花鳥画などにより、彼らが形成した近代日本画の大きな流れをたどる。

鳥成園 影絵之図 1919年頃

 岩手と縁の深い人物でもある木原が「第二の故郷」とする盛岡での開催にあたり、未公開の絵画作品や文学資料、そして刀剣なども特別に展示。コレクターの美意識に触れながら、上品で優美な「木原文庫」の世界を存分に堪能できる。