京都に生まれた上村松園(1875〜1949)は、竹内栖鳳らに学びながら独自の美人画様式を確立し、1948年には女性として初の文化勲章を受賞した画家。松園が「私の理想の女性の最高のもの」と語った《序の舞》(1936)は作家の代表作であり、のちに重要文化財に指定された。
制作から80年近く経過している本作は、近年は展示を控えざるを得ない状況が続いていたが、2015年から本格的な修理を開始。「東西美人画の名作 《序の舞》への系譜」において、修理後初公開される運びとなった。
4章で構成された会場では、松園が影響を受けたとされる江戸時代の浮世絵を紹介するほか、東京画壇を代表する鏑木清方や山川秀峰、関西画壇の上村松園や菊池契月らの作品を展覧。江戸時代の風俗画に近代美人画の源流を探りながら、《序の舞》にいたる系譜をたどる。