写真家・篠山紀信は、50年代後半から現在に至るまで、日本の芸能、ヌードと自然、都市と建築など多岐にわたるテーマで作品を発表してきた。そのなかでも、篠山の真骨頂と言えるのが、作家、アイドル、俳優、スポーツ選手などの著名人を撮影したポートレートだ。
自身初の美術館個展である本巡回展。篠山はこのポートレートを通し、「写真」そのものに備わる「写真力」を改めて世に問うている。
展示は、「GOD」(鬼籍に入られた人々)、「STAR」(すべての人々に知られる有名人)、「SPECTACLE」(私たちを異次元に連れ出す夢の世界)、「BODY」(裸の肉体―美とエロスと闘い)、「ACCIDENTS」(2011年3月11日―東日本大震災で被災された人々の肖像)という5つのセクションで構成。
ジョン・レノンとオノ・ヨーコ、大原麗子、山口百恵、市川海老蔵といった有名人から、東日本大震災で被災した人々まで、篠山が撮り続けてきた膨大な数のポートレートの中から厳選された約110点が、見上げるほど巨大な画面で展示され、写真の持つ力と可能性を全身で体感できる展覧会となる。