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小山登美夫と新オーナー・倉富佑也が語る小山登美夫ギャラリーの未来。ギャラリーはいかに次世代へ継承されるのか【3/3ページ】

世界のマーケットの潮流と日本のアートの課題

──1990年にエマニュエル・ペロタンが創業したペロタンは、2023年にギャラリーの株式の60パーセントを投資会社のコロニー・インベストメント・マネジメントに売却しています。今回の小山さんの決断もこうした世界的な流れと足並みを同じくするものと言えるかもしれません。こうした世界のマーケットの潮流、そして日本のアート・マーケットの課題についての、おふたりのご意見を聞かせてください。

 倉富 ペロタンもそうですが、ガゴシアン、ペース、デイヴィッド・ツヴィルナー、ハウザー&ワースといった現代美術のギャラリーが誕生し、メガギャラリーといわれる存在にまで成長したのはここ30〜40年ほどです。つまり、いま現在進行形で世界的に「2代目への転換期」を迎えています。今後、いろんなかたちでのギャラリーの継承が増えてくるでしょう。

  日本のアートマーケットは、かつてに比べれば確実に拡大しています。いっぽうでギャラリーをはじめ各プレイヤーの資本力がまだ小さく、大きな展開がしにくいという課題や、美術作品に対する相続税の優遇措置といった税制面での壁などがあります。そのため、美術品がコレクションされにくかったり、世代交代のタイミングで国外に流出してしまうという構造的な問題を抱えています。こうした点をより良い方向へ変えていくための働きかけも必要だと思っています。

 小山 日本は文化に対する国としてのサポートがもっとあってもいいですよね。日本のアーティストに対する海外からの注目はすごく高まっています。円安の影響もあって、日本国内で作品を売る際のアドバンテージや価格設定の難しさはありますが、海外のコレクターが日本の優れたアートを評価して買ってくれる流れは確実に強くなっている。

 倉富 小山登美夫ギャラリーは海外での売上比率も非常に高いですし、近年ではペロタンやツヴィルナーなど、海外のトップギャラリーとの連携も積極的に行っています。直近でもニューヨークを代表するアートフェアのひとつ「インディペンデント」に参加して、現地でアーティストやキーパーソンと直接コミュニケーションを取りました。こうした経験から、ギャラリーがグローバルなインフラとして機能することの重要性を強く実感しています。アジア発のギャラリーとして、より多くのステークホルダーと連携し、できることをさらに広げていきたいです。

 小山 私が第一線から退く、という噂も流れるかもしれないけれど、全然そんなことはありません。オーナーは変わりますが、僕自身のスタンスも、ギャラリーの名前も、スタッフも、そしてアーティストも、これまでと変わらずに続いていきます。むしろ、より長期的な視点で、もっと面白い仕掛けをたくさん仕込んでいける環境が整いました。これからの小山登美夫ギャラリーの展開を楽しみに見守ってもらえると嬉しいです。

編集部