植田正治を訪ねるフォトウォークから見えてきた、Sigmaがアートで目指すもの

カメラ・交換レンズ関連の光学機器メーカ「Sigma」が写真家・植田正治を訪ねるフォトウォークを昨年12月に開催。Sigmaが掲げる「The Art of engineering. Engineering for Art」を反映したこのフォトウォークをレポートするとともに、企業としてなぜアートを重視するのかに迫る。

文=坂本裕子 撮影=編集部

鳥取砂丘でのフォトウォーク

 生涯「アマチュア」を標榜し、生地の鳥取県境港市を拠点に活動した写真家・植田正治(1913~2000)。被写体をオブジェのように配した「演出写真」は「植田調」といわれ、写真発祥の地フランスでも「Ueda-cho」と表記されるほどに、世界的に知られる日本を代表する写真家のひとりだ。鳥取砂丘を舞台にした「砂丘シリーズ」はご存じの方も多いだろう。つねに身近な風景や風物を撮り続けたその作品とスタンスは、いまも多くのアマチュアカメラマンの憧憬を集めている。

植田正治の生家

 2024年11月、その植田の故郷である鳥取の米子駅に、10人のアマチュアカメラマンが集まった。彼らが手にするのは、Sigmaの世界最小・最軽量のフルサイズミラーレスカメラ、fpシリーズ。年齢もカメラキャリアもまちまちな彼らが参加するのは、2日間にわたり植田正治の足跡をたどりながら自身の撮影を楽しむ「撮る・見る・学ぶ fpフォトウォーク in 鳥取」だ。Sigmaが自社製品のユーザー向けに企画したイベントで、植田正治写真美術館や生家を訪ね、鳥取砂丘をはじめ植田が歩き撮影した地での撮影会を実施しながら、機材の魅力を存分に引き出してもらう試みとなっている。

鳥取砂丘でのフォトウォーク

編集部

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