デジタル化しても「フィルムを捨ててはいけない」
──いっぽうで、国立映画アーカイブはデジタル配信にも取り組んでいます。
栩木 劇場で上映できる映画の本数には限界があります。座席数も上映回数も限られていますし、どうしても劇映画やアニメーション映画などが中心になる。
記録映画や文化映画、教育映画、ホームムービーのようなものを多くの方に届けるには、配信が非常に有効です。記録映画の場合は、とくに「映画としての物語」だけではなく、そこに映っている情報そのものが重要なことがあります。配信なら、映像を止めたり、何度も見直したりできます。さらに紙資料やほかの資料とデジタル上で結びつけることもできます。
──現在ではデジタル保存も大きな課題ですね。
栩木 そうですね。「デジタル・ジレンマ」と呼ばれる問題があります。デジタルデータを保存するテープやディスクはどれくらい持つのか。フォーマットは次々に更新され、古いものは陳腐化していく。長期間保存するにはどれだけコストがかかるのか。デジタルへの対応はもちろん必要です。媒体を変換したり、フォーマットを更新したりする必要がある。
しかしいっぽうで、「オリジナルの映画フィルムを絶対に捨ててはいけない」という考えも非常に重要です。オリジナルが残っているからこそ、その時代の最新技術を使って再び変換できるし、作品が本来持っていた姿を蘇らせることもできる。
どれだけデジタル化が進んでも、オリジナルの映画フィルムをきちんと保存しておく必要があります。




















