夏のデスティネーションから、島の日常へ
いっぽう、ハウザー&ワース メノルカを特徴づけるもうひとつの要素が、「ラーニング」プログラムだ。
同センターでは2021年の開館展、マーク・ブラッドフォード展を機に「エデュケーション・ラボ」を開始。地元の美術学校「メノルカ芸術学校(Escola d’Art de Menorca)」の学生たちがブラッドフォードとともに、サイトスペシフィックなインスタレーションを制作した。今年はバレアレス諸島大学とバルセロナ大学との協働により、「Directionless」展のテーマに応答するプログラムを展開している。

「パブリックプログラムとラーニング活動は、このアートセンターの中心にあります」とポンスは話す。同センターで始まったエデュケーション・ラボは、その後、ハウザー&ワースのほかの拠点にも展開されてきた。「それは、来場者がギャラリーとどのように関わるのかという方法そのものをかたちづくってきました。アートへのアクセスを広げ、意味のある参加を促すことは、私たちのあらゆる活動の中心にあります」。
これは、観光地として名高いメノルカにおいて、とりわけ重要な意味を持つ。夏には世界各地から多くの観光客が島を訪れ、ハウザー&ワース メノルカも国際的なアート・デスティネーションとして賑わう。だが、その活動は観光シーズンだけで完結するものではないという。

ポンスによれば、同センターの常勤チームは全員がメノルカで生活している。年間を通して地元の学校や公共図書館と活動を行うほか、メノルカ研究所(Institut Menorquí d’Estudis)やメノルカ・オペラ財団(Fundació Menorquina de l’Òpera)など、ハウザー&ワースが島に進出する以前から存在してきた文化団体とも協働を続けている。
つまり、夏に世界各地から人を呼び込む場所であるだけでなく、島に暮らす人々の日常的な文化環境の一部になること。このふたつをいかに両立させるのかが、ハウザー&ワース メノルカの現在地を考えるうえで重要なポイントなのだろう。




















