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地中海の小島から考える、アートセンターと地域の関係。ハウザー&ワース メノルカを訪ねて【2/5ページ】

歴史の積層のなかで現代美術を見る

 イジャ・デル・レイ島の名は、1287年にメノルカ征服のために上陸したアラゴン王アルフォンソ3世に由来する。18世紀初頭、メノルカがイギリス統治下に置かれると、1711年には英国海軍による病院が設立された。現在も島の中心には、礼拝堂を囲むようにU字形に建てられた旧病院が残る。さらにその近くには、1888年に発見された6世紀の初期キリスト教時代のバシリカ遺構も存在する。

イジャ・デル・レイにU字形に建てられた旧病院 Courtesy of Hauser & Wirth. Photo by Be Creative, Menorca

 病院としての役割を終えたのち、建物は長く放置されていたが、2000年代に入ると、イジャ・デル・レイ島病院財団(Fundació Hospital de l’Illa del Rei)がその保存と修復を開始。ハウザー&ワースは同財団およびマオー市と協働し、建築家ルイス・ラプラスのもと、歴史的建築の特徴を残しながらアートセンターへと改修した。この取り組みは、2022年にヨーロッパ文化遺産賞の「Conservation and Adaptive Reuse」部門を受賞している。

イジャ・デル・レイのポート Courtesy of Hauser & Wirth. Photo by Daniel Schäfer

 ハウザー&ワース メノルカのシニア・ディレクター、マール・レスカルボ・ポンスは、この場所についてこう説明する。「イジャ・デル・レイの豊かな歴史と建築こそが、(ギャラリー創設者の)イワンとマヌエラ・ワース、そしてルイス・ラプラスに、この島の文化遺産にギャラリーがどのように貢献できるのかを考えさせるきっかけとなりました。開館以来、アーティストたちはそれぞれ異なる方法でこの場所に応答してきました。歴史や周囲の環境に、より直接的に向き合った作家もいます」。

ランドスケープ・デザイナーのピート・アウドルフによるハウザー&ワース メノルカの庭園 Courtesy of Hauser & Wirth. Photo by Daniel Schäfer

 現在の島を特徴づけるのは、こうした歴史だけではない。メノルカはユネスコの生物圏保存地域に指定されており、ハウザー&ワースも雨水の再利用や水の淡水化処理、鳥類のモニタリング、アクリル塗料に代わるチョーク系塗料の使用などを進めてきた。2026年には屋根に太陽光発電設備を導入し、使用電力の40パーセントを島の太陽光でまかなうことを目指している。

展示室から眺める風景 Courtesy of Hauser & Wirth. Photo by Daniel Schäfer

編集部

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