アーバンアート・フェア(カロー・デュ・トンプル、2025年4月24日〜27日)
4月26日(土)──。午後にパリに到着し、ホテルのチェックインを済ませて時計を見ると、コルコランが勧めてくれたマレ区の「アーバンアート・フェア」に間に合うことがわかる。会場のカロー・デュ・トンプルに滑りこむと、まず目にはいるのはマーサ・クーパーの写真作品やローガン・ヒックスのステンシル作品など、ニューヨークからつづく風景を配したエントランス正面のブースである。隣接する「グラフィティ博物館 Museum of Graffiti」(ストリートアートの歴史を保存することを目的に設立されたマイアミの施設)のブースには、「アボヴ・グラウンド」展でも展示されていたDELTA2のほか、T-KID107やPART ONEなど、70〜80年代、そして90年代にかかる重要なストリートアーティストたちの作品が並んでいる。同館のメンバーであり、多数の著作を発表するストリートアート研究者のアラン・ケットがいたことで、アートフェアでありながらミュージアム級の解説をえられたのは嬉しい誤算だった。
エキシビターの多くはパリを中心にヨーロッパのギャラリーであり、具象から抽象、ポップからミニマル、カラフルからモノトーンにまでいたる千差万別の作品プレゼンテーションからは、ストリートアートやアーバンアートという言葉がほぼ定義を失っているとさえ感じられる。そのよし悪しは置くとして、1970年代にニューヨークの少年少女たちの手によって生み出されたアートムーブメントが、紆余曲折を経て、半世紀以上のち、グローバル化、商業化、そして歴史化という異なる複数の力学の到来に一挙に直面していることが、本アートフェアから透けて見えるように思えた。

Photo ©︎LGSA by EIOS



















