• HOME
  • MAGAZINE
  • INSIGHT
  • 歴史のタペストリー ── ニューヨークとパリのストリートアート…

歴史のタペストリー ── ニューヨークとパリのストリートアート展から考える

アーティスト・大山エンリコイサムが、ニューヨークとパリで行われている重要なストリートアートの展覧会を訪れ、その背景を読み解く。

文=大山エンリコイサム

ストリートアートがあるマンハッタンの都市風景(2025年4月25日) Photo ©︎LGSA by EIOS

はじめに──同時多発する展覧会

 2025年前半は、ニューヨークやパリで重要なストリートアートの展覧会が相次いでいる。「アボヴ・グラウンド」展(ニューヨーク市立博物館)、「オス・ジェメオス:終わりなきストーリー」展(ハーシュホーン美術館)、「ラメルジー:アルファベータ・シグマ」展(パレ・ド・トーキョー)といった美術館クラスの展示に加えて、オルタナティブスペースやコマーシャルギャラリーでは「ゴードン・マッタ=クラーク:NYCグラフィティ・アーカイブ 1972/3」展(ホワイトコラムス)、「リペインティング・サブウェイアート」展(ウォールワークス・ニューヨーク)、「ザ・レジェンド・オブ・レジェンズ」展(スペールストラ・ギャラリー)といった専門性の高い展示も行われている。その多くは70〜80年代のニューヨークを起点に、ストリートアートの歴史を検証する取り組みである。このテクストでは、私が一週間ほどの旅程でめぐった各展示をレポートし、最後にそれらの背後に胎動する共通の関心から、歴史の構造を考察していく。

ストリートアートがあるマンハッタンの都市風景(2025年4月25日)
Photo ©︎LGSA by EIOS

Exhibition Ranking