
体験の再現性と一回性。中尾拓哉評「平川紀道・野村康生 既知の宇宙|未知なる日常」
島根県浜田市出身の平川紀道と、同益田市出身の野村康生が、生まれ育った島根県西部・石見地域で新作を披露する島根県立石見美術館の2人展「平川紀道・野村康生 既知の宇宙|未知なる日常」。アートとサイエンスの領域をまたぐ活動を行うこのふたりの共演を、美術評論家の中尾拓哉がレビューする。
島根県浜田市出身の平川紀道と、同益田市出身の野村康生が、生まれ育った島根県西部・石見地域で新作を披露する島根県立石見美術館の2人展「平川紀道・野村康生 既知の宇宙|未知なる日常」。アートとサイエンスの領域をまたぐ活動を行うこのふたりの共演を、美術評論家の中尾拓哉がレビューする。
書家の山本尚志を中心とする新しい書の運動「ART SHODO」。国際的に認知され進化する現代美術としての書を、清水穣がレビューする。
長野県諏訪郡下諏訪町に生まれ、同地を拠点に制作を続け、日本概念派の旗手となった松澤宥。生誕100年となる2022年2月2日に彼の生涯をたどる回顧展が長野県立美術館で開幕した。初期から晩年にかけての詩作から絵画や立体作品も含めたその全貌を、椹木野衣がレビューする。
自身が設けたルールに沿って、世界各地の地表を捉える写真作品を手がけてきた松江泰治。東京の都市模型を被写体とした新作展「makietaTYO」がTARO NASUで、「CC」「makieta」の2シリーズを紹介する個展「松江泰治 マキエタCC」が東京都写真美術館にてそれぞれ開催された。地上から撮影した「CC」、空から撮影した「JP-」、そして模型を撮影する「makieta」の手法が露出させる政治的な意味や、眺める主体について清水穣が論じる。
中ザワヒデキや草刈ミカらが中心となり、人工知能(AI)の持つ美意識や創作の可能性を探究している「人工知能美学芸術研究会」(AI美芸研)が、長野・上伊那郡の中川村で「人工知能美学芸術展:美意識のハードプロブレム」を開催した。「アンフォルメル中川美術館」「ハチ博物館」など多様な文脈を持つ会場では、40名弱の作家が展示。本展においてAIの美芸に隠された無意識、つまり他者性はどのように表れていたのか? 椹木野衣がレビューする。
5月28日、29日の2日間にかけて、アーティスト藤倉麻子が主催する展覧会「手前の崖のバンプール」が東京湾にて開催された。初の物流型展覧会として、参加者に伝えられた指示は事前に送付された材木を所定の目的地まで運輸すること。テーマを「物流・労働・対岸」と掲げ、展覧会の枠組みを大きく超えた本展はいったいどのようなものだったのか? 展覧会での体験を詳細に記述するとともに、本展の可能性について、中島水緒がレビューする
トーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)による公募プログラム「TOKAS-Emerging 2022」は、4月から6月までの2会期にわたって、選出された6組の作家が個展形式で展示を行うもの。その第1期に参加した冨樫達彦による個展「Eat Your School, Don’t Do Vegetable」は、様々なリサーチをもとにした9つの立体作品からなるインスタレーションを展示。料理と美術の関係を探る作家がつくり出す「味わい」とは?
布施琳太郎によるキュレーションで17名の作家が参加した、製本印刷工場跡地でのグループ展「惑星ザムザ」。批評家・キュレーターの石田裕己によるレビューをはじめ、本展に対して提示された様々な論点について、布施が応答する。
新宿区にある製本印刷工場跡地でひらかれ、連休中の話題をさらったグループ展「惑星ザムザ」は、布施琳太郎によるキュレーションで17名の作家が参加した。「テキスト以前の物質」を出発点とする本展について、問題提起とその先にある可能性を批評家・キュレーターの石田裕己が論じる。
Moche Le Cendrillon、山もといとみ、YOUYOUの3人による、アーティストのための「セーファースペース」をテーマとした展覧会「ケルベロス・セオリー」。本展について中村史子がレビューする。
荒木悠が2017年に無人島プロダクションで開催した個展「Bivalvia: Act I|双殻綱:第一幕」に続く、第二幕となる展覧会「双殻綱:第二幕」(2022年1月29日~2月27日)。左右に分かれている二枚貝のように、「右殻」「左殻」を彷彿させる2つの異なる映像作品で構成したインスタレーションを中心に据えた本展から見えてくる「希望」とは?
国内初のNFTアートフェアとして開催された「Meta Fair #01」。リアルとバーチャルの両空間で同時に作品が展示・販売された本フェアは、現代アートの第一線で活躍する21組のアーティストが、NFTの専門家たちと手を組み、ファインアートとしてNFTと向き合うもの。このNFTへの新しい試みについて、キュレーターの黒沢聖覇がレビューする。
東京・墨田区にあるオルタナティブスペース「あをば荘」で開催された展覧会「完璧に抗う⽅法 – the case against perfection -」。アーティストの図師雅⼈と藤林悠により企画された本展は、9名と1組のアーティストが隔月で2人展形式の展覧会を行うもの。その第2回として開催された戸田祥子/三枝愛「波を掴み、地と歩む手立て」について、中島水緒がレビューする。
青森公立大学 国際芸術センター青森 [ACAC]で開催された「近代を彫刻/超克する─雪国青森編」は、彫刻を通して日本近代史やジェンダー、公共性を考える小田原のどかが、青森の野外彫刻をリサーチした成果を個展として発表したもの。日本近代の断層をあらわにする同展を、信州大学人文学部教授・金井直がレビューする。
京都国立近代美術館で、前衛陶芸家集団「走泥社」の一員でもあった陶芸家・八木一夫が残した写真を紹介する「キュレトリアル・スタディズ15:八木一夫の写真」展が開催された。実用性より造形の芸術性を求めた「オブジェ焼き」で知られる八木は、写真に何を見出していたのか? 写真と陶芸に共通するものを手がかりに、清水穣が論じる。
インターネットと現実を往来する活動を行ってきたアートユニット・エキソニモの個展「CONNECT THE RANDOM DOTS」が、WAITINGROOMで開催された。「点つなぎ」に着想を得て、同名の書籍やそれを取り巻くインスタレーション、ウェブサイト、ブロックチェーンを含むプロジェクトとしてランダム性と価値の関係を問う本展を、椹木野衣がレビューする。
美術手帖では、批評家や学芸員らによる展覧会レビューを毎月掲載。そのなかから、1月・2月に公開された全6本をお届けする。各レビューの詳細はリンクから全文をチェックしてほしい。
昨年12月から馬喰横山のシェアオフィスを拠点に、アートマネージャー・ラボのプロジェクト「Art for Field Building in Bakuroyokoyama」がスタート。第1弾の展覧会「馬喰横山を手繰る」には、遠藤薫、工藤春香、本間メイが参加し、歴史ある街で行ったリサーチの過程と成果を展示した。こうしたアーティストによる「フィールドビルディング」にはいかなる可能性があるのか? 「多孔化」をキーワードに、インディペンデント・キュレーターの青木彬が論じる。
能登半島の先端に位置する石川県珠洲市を舞台に、2020年秋に予定されていたものの、新型コロナウイルスの影響により2021年秋に延期して開催されることになった「奥能登国際芸術祭2020+」。16の国と地域から53組のアーティストが集まったこの芸術祭で得た知見を、詩人で情報科学芸術大学院大学(IAMAS)准教授の松井茂がレポートする。
ギャラリー無量(富山)にて2021年秋、公募プログラムで採択された松江李穂による企画展が開催された。1990年代生まれの作家4人が出品した本展について、国際芸術センター青森[ACAC]学芸員の慶野結香がレビューする。