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佐藤雅晴展から「ポケモン化石博物館」まで、9月・10月のレビューをプレイバック

美術手帖では、批評家や学芸員らによる展覧会レビューを毎月掲載。そのなかから、9月・10月に公開された全13本をお届けする。各レビューの詳細はリンクから全文をチェックしてほしい。

「ポケモン化石博物館」の展示風景 (C) 2021 Pokémon. (C) 1995-2021 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc. ポケットモンスター・ポケモン・Pokémonは任天堂・クリーチャーズ・ゲームフリークの登録商標です。

山本浩貴評 ロイス・アン「満州の死…それは戦後アジア誕生の基盤である」(ASAKUSA)

ロイス・アン 錬金術国家I: 器官なき身体 2021

 ASAKUSA(東京)にて、香港を拠点とするメディア・アーティスト、ロイス・アンの国内初個展が開催されている。「満州国」をテーマとした2つの映像作品が公開された本展を、文化研究者の山本浩貴がレビューする。

飯岡陸評 「MOTアニュアル2021 海、リビングルーム、頭蓋骨」(東京都現代美術館)

マヤ・ワタナベ《境界状態》(2019)の展示風景 Photo by Kenji Morita

 日本の若手作家によるテーマ展として、東京都現代美術館にて1999年より毎年開催されている「MOTアニュアル」。第17回を迎える今回は、映像を主なメディアとしながら、自らや他者の身体をとらえた作品で、国や地域を超えて共鳴する3名の作家を取り上げている。複数の社会問題が顕在化した世界で、アーティストによる同時代的な表現を提示する本展の試みを、キュレーターの飯岡陸がレビューする。

保坂健二朗評「玉山拓郎 Anything will slip off / If cut diagonally」展(ANOMALY)

玉山拓郎 個展「Anything will slip off / If cut diagonally」展示風景(ANOMALY、東京、2021) 撮影= 大町晃平 courtesy of ANOMALY

 日用品や家具などのファウンド・オブジェクトを用い制作したスカルプチャーや、映像作品を空間に配置し、鮮烈な照明灯によって絵画的空間をつくり出すアーティスト・玉山拓郎の初となる大規模個展「Anything will slip off / If cut diagonally」が東京・天王洲のANOMALYで開催された。会期終了後も期間限定で再開されるなど、好評を博した本展を滋賀県立美術館ディレクター(館長)の保坂健二朗がレビュー。そこに生と死を見出す。

深川雅文評 村田峰紀+盛圭太「庭へ」展(void+)

村田峰紀 keyboard crusher 2021 キーボード、ボールペン、紙 (C) 森政俊

 ともに多摩美術大学の彫刻学科を卒業した村田峰紀と盛圭太。原初的な「かく」ことに迫る村田と線の起源を「糸」にみる盛、その2人がいま交差することで生まれる表現とはなにか。東京・青山のvoid+で開かれた二人展「庭へ」をインディペンデント・キュレーターの深川雅文がレビューする。

はがみちこ評 高嶺格《歓迎されざる者~北海道バージョン》

会場風景より 撮影=小菅謙三 写真提供=札幌市芸術文化財団

高嶺格による《歓迎されざる者~北海道バージョン》の上演が、札幌市民交流プラザにて開催された。緊急事態宣言発令の影響によりわずか3日間で会期終了となった本作を、京都を拠点にアート・メディエーターとして活動するはがみちこがレビューする。

五十嵐太郎評 秋山佑太個展「supervision」(WHITEHOUSE、デカメロンほか)

WHITEHOUSEの展示風景より。左は《建設作業員の儀式》(2020) 撮影=松尾宇人

 建築作業員という視点から、都市や労働をテーマに表現してきた秋山佑太。その個展が東京オリンピック開催時に、新宿・ホワイトハウスとデカメロンで開催された。同時期に都内各所で行われたオリンピック関連企画展とともに、アートを通して見えた都市の現在を、建築史家の五十嵐太郎が評する。

大下裕司評「佐藤雅晴 尾行-存在の不在/不在の存在」(大分県立美術館)

「佐藤雅晴 尾行-存在の不在/不在の存在」展示風景より、《福島尾行》(2018)

 45歳の若さで逝去したアーティスト・佐藤雅晴(1973~2019)の活動の全貌を紹介する展覧会「佐藤雅晴 尾行-存在の不在/不在の存在」が大分県立美術館で開催された。佐藤の代表作《Calling》《東京尾行》《福島尾行》などの映像作品をはじめ、フォトデジタルペインティングやアクリル画などが展示された本展を、大阪中之島美術館学芸員の大下裕司がレビューする。

中島水緒評 城戸保「駐車空間 / 絵画建築 / 案山子」展(HAGIWARA PROJECTS)

展示風景 (C) Tamotsu Kido Courtesy of HAGIWARA PROJECTS

 郊外や住宅地などの身近な風景を対象に、鮮やかな色彩や陰影が形づくる構図が印象的な写真家、城戸保。 その4年ぶりとなる個展がHAGIWARA PROJECTSで開催された。絵画画面を思わせるその表現の背後にあるものとは? 美術批評の中島水緒が論じる。

荒井保洋評 「Lost in Translation」展(京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA)

展示風景より、笹岡由梨子《Planaria》(2020-21) 撮影=中井友路

 ポーランド出身のキュレーター、パヴェウ・パフチャレクによる展覧会「Lost in Translation」が、京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAで開催された。パンデミック下の世界で、様々な文化的背景を持つ作家たちとの対話から生まれた本展はどのような態度を提示したのか。「翻訳」というキーワードを手がかりに、滋賀県立美術館学芸員の荒井保洋が読み解く。

椹木野衣評 「エキシビション・カッティングス」展(銀座メゾンエルメス フォーラム)

会期中に育てられた多数の植栽 Photo by Nacása & Partners Inc.

 ロンドンを拠点にするキュレーター、マチュウ・コプランによる日本初の展覧会 「エキシビション・カッティングス」が、銀座メゾンエルメス フォーラムで開催された。挿し木・接ぎ木、そして文字通り切り抜きや映画の編集を意味する「カッティング」というテーマで構成された本展は、現在のコロナ禍とどのように響き合うのか。椹木野衣がレビューする。

横山由季子評「東京美術学校の図案」展、「再演」展(東京藝術大学大学美術館)

「藝大コレクション展2021 II期 東京美術学校の図案-大戦前の卒業制作を中心に」展の展示風景より

 東京藝術大学大学美術館にて、「藝大コレクション展2021 II期 東京美術学校の図案-大戦前の卒業制作を中心に」展と、「再演─指示とその手順」展が同時開催された。異なる角度からコレクションの営みについて扱った2展を、金沢21世紀美術館学芸員の横山由季子がレビューする。

清水穣評 ラファエル・ローゼンダール「Calm」展、玉山拓郎個展「Anything will slip off / If cut diagonally」(Takuro Someya Contemporary Art、ANOMALY)

ANOMALYでの玉山拓郎個展「Anything will slip off / If cut diagonally」の展示風景より 撮影=大町晃平

 Takuro Someya Contemporary Artでラファエル・ローゼンダール「Calm」展、ANOMALYで玉山拓郎個展「Anything will slip off / If cut diagonally」がそれぞれ開催された。NFTを用いた作品の第一人者としても知られるローゼンダールと、美術史を創作に直結させる玉山。ふたりの作品に見る個別性と普遍性の新たな接続や交差を清水穣が論じる。

長谷川新評 「ポケモン化石博物館」(三笠市立博物館)

展示室1「白亜紀の世界と化石」 (C) 三笠市立博物館

 国民的ゲームシリーズ「ポケットモンスター」に登場するポケモンのなかには、カセキから復元されるカセキポケモンがいくつか知られている。そのカセキポケモンと、私たちの世界で発見されてきた実存の化石・古生物を見比べながら、子供から大人まで古生物学について学ぶことができる展覧会が「ポケモン化石博物館」だ。インディペンデントキュレーターの長谷川新は、ポケモンの世界と現実の二重性を示す本展に、ミュージアム固有のポテンシャルを再発見する。

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