2020年7⽉、新型コロナウイルスの感染が拡⼤するなか、新宿・歌舞伎町の中心地にオープンしたユニークなスペース「デカメロン」がリニューアルオープンを迎えた。
同店は、1348年からヨーロッパで猛威を振るったペストの様子を克明に綴ったボッカッチョによる物語集『デカメロン』を店名に冠したスペース。1階のカフェ&バーのほか、2階には展示スペースが設けられ、これまで飯⽥⻯太、⼩泉明郎/オヤマアツキが展⽰を⾏ってきた。
去る4月30日、デカメロンではこのアートスペースの⾯積を増床し、リニューアルオープン。これまで以上に多くの作品を展示可能となったスペースで、今年は「moral」と「ethics」をテーマに、新宿歌舞伎町で作品展⽰を⾏う意義を作家とともに再考するという。ディレクションは昨年から引き続き、アーティスト・⿊瀧紀代⼠が行う。
リニューアルのこけら落としとして開催されているのは、アーティスト・⼩⼭渉の個展「⼼臓が動いている The Heart is Beating」(〜5月26日)。⼩⼭は1992年東京⽣まれ。2017年に東京造形⼤学を卒業。⼈間の精神や想像⼒への関⼼をベースに映像や写真、インスタレーションなどを発表しており、近年は精神福祉施設で働いたことをきっかけに、精神疾患にまつわる作品を展開してきた。
本展タイトルである「The Heart Beating」は、ある統合失調症の人物が死の直前に語った⾔葉から引⽤されたもので、⼈間存在の根幹が揺るがされた「⼼臓が動いている」という⾔葉を主軸に、⽣と死を問う新作インスタレーションが展示されている。
なお6⽉1⽇からはアーティスト・⿃井祥太の個展「Here 17th」を開催予定。その後は袁⽅洲(6⽉末〜7⽉末)、秋⼭裕太(8⽉)、オヤマアツキ(9⽉)、檜⼭真有キュレーション オル太+原⽥裕規(10⽉末〜12⽉頭)、井⽥⼤介(12⽉中旬〜翌年1⽉末)といったラインナップが予定されている。
2022年7月10日追記:一部内容を修正しました。