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2021.8.2

キュンチョメからピピロッティ・リストまで、7月のレビューをプレイバック

美術手帖では、批評家や学芸員らによる展覧会レビューを毎月掲載。そのなかから、7月に公開された全6本をお届けする。各レビューの詳細はリンクから全文をチェックしてほしい。

「ピピロッティ・リスト:Your Eye Is My Island-あなたの眼はわたしの島-」の展示風景より 撮影=表恒匡 (C) Pipilotti Rist
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荒木夏実評 キュンチョメ個展「ここにいるあなたへ」

避難指示区域にタイムカプセルを埋めに行く 2011

 ホンマエリとナブチによる二人組アートユニット・キュンチョメの個展が、神奈川県の民家2軒を舞台に3~4月にかけて開催された。2011年の結成から10年間に制作した、震災に関わる作品のうち16点を展示。キュレーターの荒木夏実が、本展を通して、キュンチョメの震災をテーマにした活動を総覧する。

中島水緒評 藤田道子「ほどく前提でむすぶ」(茅ヶ崎市美術館)

Ribbon 2020 Photo by TAKAHASHI Kyoko

 リボンや布、木、ビーズなど身の回りにある素材で作品を制作し、光や風など、自然現象のうつろいを繊細にとらえた作品で知られる藤田道子の個展「ほどく前提でむすぶ」が、茅ケ崎市美術館で開催された。新作インスタレーションで用いたリボンに意味づけた作家の新しい試みとは? 美術批評家の中島水緒がレビューする。

中村史子評「ピピロッティ・リスト」展(京都国立近代美術館)

展示風景より、《4階から穏やかさへ向かって》(2016) 撮影=表恒匡  (C) Pipilotti Rist

 4~6月、京都国立近代美術館にて「ピピロッティ・リスト:Your Eye Is My Island-あなたの眼はわたしの島-」展が開催された。初期作から最新作にわたる、身体、女性、自然、エコロジーをテーマとした作品約40点で構成。近年特徴的な、ダイナミックなプロジェクションによる映像をソファやベッド、クッションといった親密な空間のなかで鑑賞する本展を、愛知県美術館学芸員の中村史子がレビューする。

南島興評 「ライアン・ガンダーが選ぶ収蔵品展」(東京オペラシティ アートギャラリー)

「ストーリーはいつも不完全……」の展示風景より 撮影=中川周

 東京オペラシティ アートギャラリーで「ライアン・ガンダーが選ぶ収蔵品展」が開催された。会場は、モノトーンの作品のみを集めた「色を想像する」と、薄暗い空間に展示された作品を手元のライトで照らしながら鑑賞する「ストーリーはいつも不完全……」というふたつの展示室で構成。本展をコロナ禍におけるもうひとつの「オンライン展覧会」と位置づけ、ともに見ることの(不)可能性を横浜美術館学芸員の南島興が論じる。

サエボーグ評 中村佑子《サスペンデッド》

中村佑子《サスペンデッド》より

 港区で開催された「シアターコモンズ ’21」にて、2月にリモート公開とゲーテ・インスティトゥート東京ドイツ文化センターのリアル会場でのARリモート体験型映画として発表された、中村佑子《サスペンデッド》。病の親を持つ子供の視点から、観客がかつてある家族が住んでいたであろう家を一人ひとり訪ね、二重化された世界を体験する本作について、アーティストのサエボーグが論じる。

北澤周也評「石川真生展 醜くも美しい人の一生、私は人間が好きだ。」(沖縄県立博物館・美術館)

「大琉球写真絵巻」の展示風景 (C) Mao Ishikawa

 敗戦後、アメリカの統治下にあった沖縄に生まれ、本土復帰を求める抵抗運動の嵐が吹き荒れるなか、カメラを通して同地の人々をとらえ始めた石川真生。ドキュメンタリーからフィクションまで、多様な手法を用いるそのスタイルを総数500点あまりで紹介した本展について、批評家・北澤周也がレビューする。