東京・虎ノ門のTOKYO NODEで、アーティスト・YOSHIROTTEN(ヨシロットン)による個展「ヨシロットン展 彼方との交信/BEYOND EARTH」が開幕した。会期は2027年1月11日まで。
地上200メートルのギャラリーが「宇宙船」に
YOSHIROTTENは1983年鹿児島県生まれ。自身が代表を務めるクリエイティブスタジオ「YAR」を拠点に、グラフィックデザインやアートディレクション、映像、空間演出など幅広い領域で活動。エルメスやナイキなどのブランド、宇多田ヒカルや山下達郎、XGといったミュージシャン、そしてポケモンなどのエンターテインメントとの協業でも知られる。いっぽう、アーティストとしても「見えないものの可視化」を一貫したテーマに作品制作を続けてきた。2023年には国立競技場で「SUN」シリーズによる大規模なインスタレーションを発表し、24年には鹿児島県霧島アートの森で個展「FUTURE NATURE II In Kagoshima」を開催するなど、活動の領域を広げている。

本展は東京では8年ぶりとなる大規模個展であり、過去最大規模の個展。その舞台となるのは、虎ノ門ヒルズ ステーションタワー45階、地上約200メートルに位置するTOKYO NODE GALLERY A/B/Cだ。
テーマは「彼方との交信」。ここでいう「彼方」とは、目には見えず、私たちの身体では到達することのできない遠い場所や時間を指す。そして「交信」とは、光や音、電波などを介して、その未知なる領域とつながる行為を意味する。
本展では、約1500平方メートルにおよぶギャラリー全体をひとつの「宇宙船」に見立て、宇宙や地球、都市にまつわる膨大なデータを光や映像、色彩へと変換する大型のインスタレーションを展開。その特徴のひとつが、会場に差し込む自然光と作品との関係だ。モニターやネオン管などの発光する作品に加え、窓の外に広がる東京の都市風景も展示を構成する要素となる。昼と夜とで異なる表情を見せる空間について、YOSHIROTTENは「光を見つけることも面白さのひとつ」と話す。

「RGB」「FUTURE NATURE」「SUN」。3つの代表シリーズが集結
本展では、YOSHIROTTENが過去10年にわたり取り組んできた代表的な3シリーズ「RGB」「FUTURE NATURE」「SUN」の最新作が一堂に会する。
まず注目したいのが、「RGB」シリーズの《Signal RGB》だ。赤・緑・青の光を組み合わせて様々な色彩を生み出すモニターの技術を、絵筆のように用いた作品である。144の動くグラフィックによって構成されており、幾何学的な形態や植物、自然現象、文字、地上絵など、多様なモチーフが次々と現れる。

その着想源のひとつは、YOSHIROTTENが中学生時代にコンピューター室で目にしたスクリーンセーバーだったという。暗闇のなかで発光するモニターと、画面上を浮遊するイメージ。その原体験が、現在の創作にもつながっている。
作品を構成するイメージに明確な物語や統一された意味は与えられていない。鑑賞者がどのイメージに注目し、そこにどのような関係性を見出すのかは自由だ。無数の色彩と形態が交錯するその世界には、YOSHIROTTENの視覚表現の原点を見て取ることができる。
また、光を観測して得られたスペクトルデータをグラフ化する《Green Scanner》など、目に見えない情報を視覚的なイメージへと置き換える試みも展開される。いっぽう、「FUTURE NATURE」は、普段私たちが見ている世界とは異なる光によって、自然や都市をとらえ直そうとするシリーズだ。その関心は本展でさらに宇宙へと広がり、JAXAとの協働による新作群へとつながっている。


































