JAXAと協働。天体観測データから生まれた新作
本展のもっとも大きな見どころが、JAXAの協力によって実現した新たな「宇宙アート」だ。「宇宙とTOKYO NODEが交信するような展覧会にしたいと思い、JAXAにコンタクトを取った」というYOSHIROTTEN。JAXA宇宙科学研究所の教授であり、X線分光撮像衛星「XRISM」の研究主宰者を務める山口弘悦との対話を通して、実際の天体観測データをもとにした新作群を制作した。

そのひとつが、《Puddle – Cygnus X-1》だ。「Puddle」とは水たまりを意味し、「Cygnus X-1(はくちょう座X-1)」は地球から約7300光年の距離に位置する、ブラックホールを含む天体だ。本作では、XRISMが観測した「Cygnus X-1」周辺のX線データを雨粒のような水滴へと変換。それを仮想空間の水面に降らせることで生じる揺らぎを撮影し、作品として提示した。遠い宇宙に存在するブラックホールを、私たちの足元にある水たまりの波紋のように描き出す試みだ。人間が直接知覚することのできないブラックホールを、身近な自然現象に置き換えている。

また、地球そのものに目を向けた作品が《The Earth》だ。人工衛星が撮影した地球の写真から、海や陸、森、雲、都市などの要素を抽出し、コンピューター上で大胆に拡張・再構成した絵画だ。キャンバスには人工衛星の構体などにも使用されるアルミハニカムが用いられており、画面では見慣れた地形は輪郭を失い、海や大地、都市が重なり合いながら、抽象的な風景へと変化している。しかし、その色彩の奥には、人間が暮らす地球の姿が確かに存在している。


YOSHIROTTENは、宇宙から見た地球には国境や地名による区分がなく、海、大地、森林、都市が織りなすひとつの大きな風景が広がっていると語る。地球をひとつの巨大な生命体のようにとらえるその視点は、私たちが日常的に接している世界を見つめ直すきっかけにもなるだろう。このほかにも、国際宇宙ステーション(ISS)に搭載された全天X線監視装置「MAXI」の観測データを光と音に変換する《Light Pulse》や、超新星爆発のプロセスに想像力を働かせた《Supernova》などが展示される。




















