花火師としても活動する島田清夏は、炎色反応や火薬に含まれる金属元素に着目する。花火は祝祭や鎮魂の象徴として語られることが多いが、その背後には金属元素が発する光や、日本独自の硝石製造の歴史といった物質文化が存在する。島田はその科学的・歴史的背景を掘り起こし、私たちが見上げる光景を別の視点から照らし返す。

ジュエリー・デザイナーの奥山慎は、鍛金による制作を通して、金属と身体の親密な関係を提示する。空間に吊り下げられたチェーンやフォルムは装飾品という枠を超え、身体性を帯びた彫刻のように展示空間へ広がる。身につけるためのジュエリーが、空間全体へとスケールを拡張したようなインスタレーションは、本展に静かな緊張感をもたらしている。

トークやワークショップも主役
なお本展のもうひとつの特徴は、「見る展示」で終わらないことにある。鍛金体験や線香花火づくり、金属製の道具を使った工作、アーティストトークなど、会期中には多彩なイベントが開催される。春のワークショップの成果展示も含め、「知識を得る」だけでなく、「身体を動かし、手を使い、素材と対話する」ことそのものが学びとして位置づけられている。
金属は、私たちの日常を支えるもっとも身近な素材のひとつでありながら、その存在を意識する機会は少ない。本展は、科学、工芸、現代美術、建築といった異なる領域を横断しながら、その素材が秘める豊かな可能性を五感で体験する場となっている。



















