空海が唐から密教をもたらしてから約1200年。その教えは高野山や東寺をはじめ全国各地へ広がり、多様な宗派へと発展しながら現在まで受け継がれてきた。東京・上野の東京国立博物館 平成館で開幕した特別展「空海と真言の名宝」(〜9月6日)は、その歩みを真言宗各派総大本山会(十八本山)と関係寺院が所蔵する至宝によって紹介する大規模展だ。
展示は「空海と真言密教」「後七日御修法の世界」「真言宗各派の名宝」「真言宗各派の彫刻と秘仏」の4章で構成され、国宝15件・重要文化財60件を含む寺宝88件(会期中展示替えあり)を紹介。宗教史にとどまらず、日本美術史を代表する名品が並ぶ内容となっている。
第1章「空海と真言密教」
展覧会の幕開けとなる第1章では、空海の生涯と、その思想を支えた密教文化が紹介される。
本章でもっとも注目したいのは、展示冒頭を飾る高野山・金剛峯寺ゆかりの秘仏《弘法大師坐像》(17世紀)だ。豊臣秀吉が母の菩提を弔うため建立した寺院以来伝わるとされ、幾度もの火災をくぐり抜けてきた由緒ある像が、空海生誕1250年を記念して特別公開された。

若き日の空海は唐へ渡り、師・恵果(けいか)から密教を伝授された。その成果を物語る代表作が、国宝《三十帖冊子》(9世紀)だ。密教経典を書写したこの冊子には、楷書・行書・草書が織り交ぜられ、行書や梵字の多くは空海自身の筆と伝わる。密教を必死に学び取ろうとする姿勢が、その一字一字から伝わってくるようだ。

また、鮮やかな色彩と立体的な描写が見事な醍醐寺所蔵の国宝《五大尊像》(12〜13世紀)や、空海が中国より持ち帰ったとされる密教法具を代表する国宝《金銅錫杖頭》(8世紀)なども見逃せない。










































