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「ふたりのアフリカ、手仕事の宇宙」展(世田谷美術館)開幕レポート。暮らしのなかで育まれた「もうひとつのアフリカ」【2/3ページ】

川田順造の言葉を手がかりに展覧会を構成

 本展の構成にあたって大きな手がかりとなったのが、川田の代表的エッセイ『サバンナの博物誌』(1979、新潮選書)だ。塚田は、「本を教科書のように読み込み、そこに描かれたものを実際のコレクションと照らし合わせながら調査を重ねました。川田さんの言葉を導きの糸として展示構成を考えています」と語る。また、2024年に川田が逝去した後も、小川待子が全面的に調査と展示制作に協力し、自身の体験や記憶を数多く語ったことが、本展の重要な基盤となったという。

 イントロダクションでは、「赤・白・黒」という3つの色から展示が始まる。川田はこれらを「文化の三原色」と捉え、文化や地域を超えて人々が特別な意味を託してきた色として論じている。本展では、赤土や草木による染色、革製品、草編みなどを通して、その思想を視覚的に紹介。ひょうたんを用いた儀礼用太鼓やバオバブの実なども並び、サバンナの自然環境と人々の営みとの結びつきが浮かび上がる。

イントロダクション「赤・白・黒」の展示風景より、赤土や草木による染色、革製品、草編みなどを紹介している

 第1章「アフリカとの出会い」では、1960年代の川田とアフリカとの出会い、そして結婚後に小川と旅した北アフリカ・マグレブ諸国での経験を紹介する。なかでも、小川が旅先で描いたスケッチの原画が初公開される点は本章の見どころのひとつだ。これらは後に川田の紀行文「マグレブ紀行」の挿絵として用いられたもので、陶芸家として知られる小川のもうひとつの創作の側面を知ることができる。

「ひょうたん」「草を編む」「土器をつくる」といったテーマごとに構成される第2章「サバンナに暮らす」

 第2章「サバンナに暮らす」では、3年半に及ぶブルキナファソでの生活を軸に、「ひょうたん」「草を編む」「土器をつくる」といったテーマごとに展示が構成される。大小さまざまなひょうたんの器や楽器、精巧な草編みのかごや団扇、素焼きの土器、真鍮製品など、生活のなかから生まれた造形が一堂に並ぶ。

精巧な草編みのかごや団扇が並ぶ
素焼きの土器、真鍮製品なども一堂に展示されている

 また、本章では会場全体に音が流れていることにも気づかされる。これは川田が約20年にわたって現地で収録した歌や太鼓、口承による語りなどの音源であり、1983年に発表したレコード『サバンナの音の世界』から選ばれたものだ。文字によらないコミュニケーションや口頭伝承を長年研究してきた川田の関心を反映した演出であり、意味は理解できなくとも、声やリズムがもつ力強さを身体的に体験できる空間となっている。

編集部