布やビーズに宿る、美意識と歴史
第3章「アフリカの色とかたち」では、染織、革製品、ビーズを紹介する。なかでも圧巻なのは、多彩な染織作品の展示だ。約40年前にはひょうたんやかごの一部が紹介されたことはあったが、今回の調査によって膨大な布のコレクションが確認され、その魅力が初めて本格的に紹介されることになったという。藍染めや泥染めなど、西アフリカならではの力強い色彩が空間を彩る。


展示には、川田の文章も随所に掲出される。一枚の布を切らずに身体へまとい、風をはらむように身につける文化について綴った一節からは、人類学者としてだけでなく、美術やデザインへの鋭敏な感覚もうかがえる。塚田は、「ファッション・デザイナーの三宅一生とも親交があった川田さんの芸術的な視点の豊かさがよくわかります」と話す。また、布やビーズの選定には小川自身の審美眼も色濃く反映されており、人類学的関心と作家としての感性、その双方が交差するコレクションであることが見えてくる。


そして最後を飾る第4章「海の見える家――ふたりのアフリカ」は、本展最大の見どころだ。100点を超える仮面や木彫、椅子、楽器、絵画などが密度高く配置され、長年にわたり川田と小川が暮らしのなかで育んできた空間を想起させる。とはいえ、それは自宅の再現ではない。小川自身がディレクションを手がけ、「イマジネーションの場」として新たに再構成されたインスタレーションとなっている。

塚田は、「アフリカのものを分類して見せるだけではなく、ご夫妻が日本へ帰ってからも、それらとともに暮らし続け、想像力を育んできた空間そのものを伝えたかった」と語る。約50年にわたるふたりの生活とまなざしが織り成した「手仕事の宇宙」は、アフリカ文化への理解を深めるだけでなく、ものとともに生きることの豊かさをあらためて問いかけている。



















