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「再編する ― NAMコレクションの現在」(長野県立美術館)会場レポート。地域の歴史としてのコレクションを新たなかたちで見せる【2/3ページ】

「絵画」を並べて考える

 第2章「見ることの層」では、同館の平面作品のコレクションを取り上げる。担当の茂原は同館コレクションについて「男性作家に偏重しており、今後のコレクションの課題となっている」と語る。

左壁面が辰野登恵子《Aug-2-2003》(2003)、右壁面左から小松崎広子《平面の中のジグザグ形 D-8》(1995)、《平面の中のジグザグ形 C-35》(1994)、《平面の中のジグザグ形 B-34》(1993)

 辰野登恵子(1950〜2014)や小松崎広子(1935〜2025)の作品は、こうした観点で新収蔵(辰野作品は個人蔵[同館寄託])された。辰野の《Aug-2-2003》(2003)と小松崎の「平面の中のジグザグ形」シリーズ(1993〜95)は、いずれも高さ2メートルを超える大型の平面作品であり、その色調と構成、力強いマチエールには会場を支配するかのような強度が宿っている。こうした作家の魅力を再認できるのもコレクションのおもしろさといえるだろう。

左から堀内袈裟夫《泉の極智象B》(1962)、小松良和《Land scape'84 気流の音》(1984)。堀内は長野市出身、小松は伊那市出身の前衛画家
左から丸山晩霞《初夏の志賀高原》(1909頃)、吉田博《有明山》(1920)、長井雲坪《秋山群猿図》(1890)、菱田春草《羅浮仙》(1901頃)、赤羽雪邦《米国風景》(1914)

 ほかにも平面作品は、長井雲坪(1833〜1899)の山水画、小絲源太郎(1887〜1978)の油彩の風景画、ジャン(ハンス)・アルプ(1886〜1966)やセルジュ・ポリアコフ(1900〜1969)、靉嘔(1931〜)、オノサト・トシノブ(1912〜1986)らのリトグラフなどを展示。美術館が教育機関としての役割を持ち、実作品を目にしながら美術史を学ぶことができる場であることを再確認させてくれる。

 本章の最後では、Barrackの古畑大気と近藤佳那子、それぞれの作品を展示している。Barrackは2017年より愛知県瀬戸市を拠点とし、アートスペースとカフェを運営しながら、美術、食、地域の歴史、音楽、造形教育などをつなぎ合わせる多層的なプロジェクトを展開してきた。本展では1987年長野県生まれの古畑と、同年三重県生まれの近藤の、それぞれの創作が焦点化されている。

近藤佳那子《Spring has come》(2026)。春の情景を油彩で描き込んだ本展のための新作
古畑大気《add hermit mine(roof of hot water)》(2025)右。デジタルで描画した作品をターポリンに転写することで展示室の壁面を風景に変える

 古畑は身の回りの何気ない景色を、PCにより線と色面だけで描き、ターポリンに出力。いっぽうの近藤は水彩または油彩による絵画作品を制作。身の回りにある草木や花などを描いている。ふたりの制作は方向性は違えど、日常を「風景」として捉え直す試みとして共通するところが多いことに気づかされる。

編集部