イギリスのテートは、現ニューヨークのディア・アート財団ディレクターのジェシカ・モーガンを、新たな館長に任命したと発表した。モーガンは2027年1月1日に就任し、2017年からテートを率いてきたマリア・バルショウの後任となる。テート史上10人目の館長となる予定だ。
年間700万人以上が訪れるテートは、テート・モダン、テート・ブリテン、テート・リバプール、テート・セント・アイヴスの4館を運営する世界有数の美術館ネットワークであり、コレクション貸出や展覧会を通じて世界各地で活動を展開している。日本では、同館の所蔵品からジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーの画業をたどる大規模な回顧展「テート美術館 ターナー展――崇高の絵画、現代美術との対話」(10月24日〜2027年2月21日、国立西洋美術館/2027年3月13日〜6月27日、大阪中之島美術館)も予定されている。
現在57歳のモーガンは、2015年からディア・アート財団のディレクターを務めてきた。ニューヨークを拠点に、コレクションの拡充や展覧会プログラムの強化に加え、ディア・ビーコンやディア・チェルシーを含む各施設の大規模改修プロジェクトを推進。無料入館の拡大や、新たなアーティスト・コミッションの実現などを通じて、同財団の活動を大きく発展させてきた。
モーガンはディア以前にもテートで約12年間にわたり活動しており、2010〜14年にはテート・モダンで国際美術担当ダスカロプロス・キュレーター、2002〜10年にはテートのキュレーターを歴任した。会期中のタービン・ホール・コミッションをはじめ、多数の展覧会や新規コミッションを企画したほか、中東や北アフリカ、南アジアなどの作品収集を推進し、テートの国際的なコレクション形成にも重要な役割を果たした。また、ボストン現代美術館のチーフキュレーターやシカゴ現代美術館のキュレーターも務めている。
近年は、2026年にヴェネチアのサン・マルコ・アートセンター(SMAC)で開催中の李禹煥の回顧展や、2025〜26年にパリのブルス・ドゥ・コメルスで開催されたグループ展「Minimal and More」のキュレーションを担当。14年には第10回光州ビエンナーレの芸術監督も務めたほか、現在はハウス・デア・クンストやカオヤイ美術財団など、各国の美術機関のアドバイザリーボードにも参加している。
テート理事長のローランド・ラッドは、「ジェシカは卓越したリーダーであり、世界中のアーティストや美術機関と築いてきた豊富な経験を持つ人物です。ディア・アート財団の変革を成し遂げた実績と、テートでの長年の経験を兼ね備えた彼女こそ、テートを次の時代へ導く最適な人材だ」とコメントした。
これに対しモーガンは、「国際的な近現代美術を代表する機関であるテートの館長に任命されたことを大変光栄に思います。ディア・アート財団での経験を通じても、つねにアーティストと公共性を活動の中心に据えてきました。その姿勢をテートでも引き継ぎ、優れたチームとともに新たな歩みを進めていきたい」と抱負を述べている。
モーガンの就任は、テート・リバプールのリニューアルオープンを2027年に控える節目のタイミングとなり、今後のプログラムやコレクション戦略にも注目が集まりそうだ。





















