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「アンドリュー・ワイエス展」(東京都美術館)開幕レポート。窓、扉、そして人、「境界」をめぐる絵画との対話【3/4ページ】

オルソン・ハウスとオルソン姉弟

 ワイエスの70年にわたる創作活動において、欠かすことのできない主題がある。それは、妻ベッツィに紹介された、メイン州の「オルソン・ハウス」だ。ここは友人であるクリスティーナとアルヴァロのオルソン姉弟の自宅であり、ワイエスはこの建物に魅了され、30年にわたってこの家と周辺の人々を題材に描き続けた。

アンドリュー・ワイエス《クリスティーナ・オルソン》(1947)パネルにテンペラ。外部からの光と室内の暗さの対比のみならず、その境界を跨ぐかのようになびくクリスティーナの髪の動きにも注目したい
《クリスティーナ・オルソン》の習作。習作の段階ではクリスティーナの髪はなびいていないことも見て取れる

 とりわけワイエスを惹きつけたのは、クリスティーナの存在だ。彼女は進行性の病で足が不自由でありながら、自立心を保つ強い精神を持っていた。を持っていた。裕福な家庭に育ったワイエスは、自身にない彼女の強靭な精神に共鳴し、彼女をモデルとした作品を多く残した。本展で紹介される《クリスティーナ・オルソン》(1947)は、彼女をモデルとしたワイエスの代表作のひとつでもある。

 姉弟が紡いできた歴史が刻まれたこの家は、2人が亡くなった後も、ワイエスの重要なモチーフであり続けた。

手前は、アンドリュー・ワイエス《オルソンの家》(1966)水彩、紙
本章の最後には、誰もいなくなったオルソン家を描いた《オルソン家の終焉》(1969)が展示される

編集部