「波板と珊瑚礁 - 建築を遠くに投げる八の実践」(WHAT MUSEUM)開幕レポート。模型を通じて建築家たちの思考の「断片」を垣間見る【2/3ページ】

都市のなかにある建築と人の関係性に目を向ける

 ふたつのフロアに渡って展開される建築家たちの試みから、いくつかの展示をピックアップして紹介したい。

 板坂留五が代表を務めるRUI Architectsは、街を観察するための道具「プロップ(小道具)」として建築模型を提示。自身が違和感を覚えた会場近隣の場所を模型としてトレースし、建築物の相互関係や街の変遷をリサーチしている。その関係性から想起されるストーリーを、写真とテキストを用いてナラティブに落とし込み、街を見つめる目に文脈を与えている。

RUI Architects「Prop」(2026)。会場では5つの場所を取り上げ、模型や写真といった様々な視点からその場所について観察することができる Photo by Keizo KIOKU
RUI Architects「Prop」(2026)。模型を所定の位置から撮影することで、メンバーたちが注目したポイントや建築同士の関係性が浮かび上がってくる Photo by Keizo KIOKU

 建築コレクティブ・GROUPは、都市空間と人間の生理現象である「眠り」の関係性に着目。展示空間には、渋谷にあるマクドナルドの一席、LEDディスプレイに映し出される図面が置かれ、奥の展示室では「都市と眠り」に関する識者へのインタビュー音声が流れている。都市は人間のバイオリズムの何を受容し、何を排除しているのか。それを浮き彫りにするGROUPのリサーチは、都市に生きる私たちが無意識に感じている違和を表出させるもので、非常にクリティカルな視点であると感じた。また、見る者の想像力を刺激する空間構成にも強く惹きつけられた。

GROUP「都市と眠り」(2026)。マクドナルドの一席は、都市のなかにある最小の眠りの場として提示されている 映像=稲田禎洋 Photo by Keizo KIOKU
GROUP「都市と眠り」(2026)。都市空間の光や喧騒のなかで眠ることとはいったいどういうことなのか。奥の展示室では識者によるインタビュー音声も流れている 映像=稲田禎洋 撮影=編集部

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