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ターナー・コンテンポラリーはいかにしてマーゲートを「アートの町」に変貌させたか?

イングランド南東部ケント州の海辺の町マーゲートに位置するターナー・コンテンポラリーが、2026年に開館15周年を迎えた。開館以来、様々な展覧会やイベント、ワークショップを開催してきた同館は、地方都市の再生を象徴する存在として注目されている。本稿では、その歩みとともに、アートが地域社会にもたらした変化と現在の課題を読み解く。※4月19日24時まで、すべての方に全文お読みいただけます。

文・撮影=坂本みゆき

ターナー・コンテンポラリー内のデイヴィッド・ホックニーによる《サンリー・ウィンドウ2026》(2026)の展示風景

 トレイシー・エミンの故郷であり、《なぜ私はダンサーにならなかったのか》(1995)をはじめ彼女の初期作品の多くにモチーフとして登場するイングランド南東部ケント州のマーゲート。ロンドンからおよそ100キロの位置にある小都市を「アートの町」へと変貌させた存在のひとつが、ターナー・コンテンポラリーだ。そして同館は今年、開館15周年を迎えた。この15年で72本の展覧会を開催し、来館者数は延べ480万人を超える。地元にもたらした経済効果は1億ポンドにのぼるという。

ターナーも愛した美しい海辺の町

 美術館の名は、その空の美しさに魅せられ、この地を何度も訪れたことで知られるJ.M.W.ターナーに由来する。マーゲートはターナーのみならず多くの芸術家を惹きつけてきた町であり、19世紀の産業革命期には、サセックス州のブライトンなどと並ぶ裕福層の夏の保養地として栄えた。

マーゲートの海外沿いには、古い時計台などがあり歴史を感じさせる

 しかし1970年代に入ると、ヨーロッパの近隣諸国への格安パッケージツアーの普及を背景に観光客が激減し、高い失業率に苦しむようになる。そうしたなか、1995年にマーゲート再生のための文化的施策の構想が持ち上がり、さらに当時の労働党政権による「地方再生」政策の一環として、海を望む場所に新たな現代美術館を建設する計画が実現した。こうして2011年4月、ターナー・コンテンポラリーが開館する。建物を手がけたのはデイヴィッド・チッパーフィールドだ。チッパーフィールドはイギリスのウェスト・ヨークシャー州のヘップワース・ウェイクフィールドや、アメリカ・ミズーリ州のセントルイス美術館の建築を手がけたことでも知られ、2023年にはプリツカー建築賞を受賞している。

ターナー・コンテンポラリーの外観

編集部

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