香川県は、丹下健三建築の「旧香川県立体育館」について4月10日から解体に着手すると発表した。
同建築は、丹下健三(1913〜2005)が国立代々木競技場のスタディから生み出したものであり、大きく反り返ったデザインは「和船」を思わせることから、長年「船の体育館」と呼ばれ親しまれてきた。
民間で組織された旧香川県立体育館再生委員会(委員長:長田慶太)が、同建築を買い取り、自己資金で保存・再生する案を示したものの、県はこれを受け入れず、地震での倒壊の危険性を理由に解体する方針を貫いてきた。
県によると、解体工事は4月10日8時に着手。当日は植栽の撤去工事を行うという。また翌週以降、池にある景石を取り外すが、景石は処分せず、工事敷地外に一時保管するという。工期は2027年9月までの予定。
いっぽう、旧香川県立体育館再生委員会は県に対して、この解体工事への公金支出の差し止めを求める住民訴訟を起こしており、現在係争中だ。
また丹下健三を父に持つ、TANGE建築都市設計代表取締役・CEOの丹下憲孝はInstagramを通じて今回の解体に言及。以下のような声明文を公開している(一部抜粋)。
現在、旧香川県立体育館の解体が進められようとしている状況について、私は一つの建築の問題にとどまらず、 日本の近現代建築のあり方全体に関わる重要な課題として強い危機感を抱いています。
近年、日本各地において戦後に建てられた優れた建築が、十分な議論がなされないまま次々と姿を消しています。 これらの建築は、単なる老朽施設ではなく、戦後の社会がどのような価値観のもとに都市や文化を築いてきたのかを示す、極めて重要な文化資産です。
もちろん、安全性や財政的な制約が重要な判断要素であることは理解しています。しかし同時に、近現代建築の文化的価値をどのように評価し、どのように継承していくのかという社会的な議論は、いまだ十分に成熟しているとは言い難い状況にあります。 この継承という意味は、ただ単に形を残すという事ではなく、今の時代に求められる新しい用途を有した上で、継承していくという意味です。 今問われているのは、個別の建築の存廃ではなく、私たちがどのような文化を未来に残そうとしているのかという姿勢そのものです。 もしこのまま重要な建築が失われ続けるならば、その選択は将来の世代から、 現代社会の文化に対する意識、認識として評価されることになるでしょう。





















