新たな風景画をめぐって
最後の第5章「風景画を更新する」は、今後の制作を指し示すような新作群で幕を閉じる。大作《セクションとしての世界(仮題)》は、PC上の画面のレイヤーのように黄色い矩形が背景に重なり、そこに緑や青が配されている。この緑や青は、浦川がコレクションする民藝の器や九谷焼の色彩を引用したものであり、伝統的な色彩を要素として取り入れようとする浦川の新たな姿勢を感じることができるはずだ。

さらに、本展に際して浦川は同館の13メートルの空間に、壁画《スプリット・アイランド》を公開制作した。巨大な画面を区切るようにいくつもの画面が並ぶ本作は、16世紀の豊臣秀吉による太閤町割の際に、戦禍で荒廃した街から集められた瓦や焼き石でつくられた「博多べい」を意識しているという。博多という都市のイメージに、浦川が向き合った過程が見て取れる。

作家としての足場を固めようとする浦川のこれまでの歩みと現在地を示すことになった美術館初個展。とくに九州派からの影響、そして福岡のアートスペースでのアーティストたちとの交流といった、福岡という地場が浦川というアーティストをいかに育ててきたのかが提示されていることは興味深い。それを浦川が自身のアイデンティティとしてとらえ、福岡のモチーフを画面に出現させていった過程がよくわかる。こうした個人史の断片の前景化が進むことが、浦川の「風景画」になにをもたらすのか。見届けたくなる個展となっていた。



















