2階の中心となるのは、数百年前の朝鮮半島で焼かれた「李朝白磁」である。柳宗悦らによって価値が見出された、精神性の結晶である白磁。同時に、無名の工人たちの痕跡、さらには日本の植民地主義の帰結として、捉え直す展示が試みられている。こうした複層的な視点は、本展タイトルに掲げられた「あいまいさ」とも呼応する。

また2階の畳敷きの広間では、ムン・キョンウォン&チョン・ジュンホ、津田道子、高嶺格、奥村雄樹、高田冬彦、大木裕之らの映像作品が複数上映される。遠藤が選定した映像や、ドキュメンタリー性の高い作品群が並び、時間をかけた鑑賞を促すパートとなっている。
3階では雨宮庸介が、VR(仮想現実)を用いた新作《美しさあいまいさ、確からしさ》(2025)を発表。kudan houseという建築が抱える記憶と、大江健三郎の世界観が接続され、空間そのものを媒介にした体験が立ち上がる。
最新技術を用いた雨宮の作品と対照をなすように、地下空間は五月女哲平による抽象絵画のみで構成される。1階の展示とは異なり、絵画は空間にそっと添えられるように配置され、1点ずつとじっくり向き合うための静かな環境がつくられている。

本展が提示するのは、「美しさ」を普遍的な基準として確定することではない。むしろ美は、見る者の立場や時代背景によって揺れ動くものとして浮かび上がる。kudan houseの空間性も相まって、作品同士の関係は固定された解釈へ回収されることなく、曖昧さを含んだまま鑑賞者へと手渡される。フェアパートでどのような対話と選択が生まれるのかも含め、この試みは継続的に注視されるべきだろう。
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