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「アルフレド・ジャー あなたと私、そして世界のすべての人たち」(東京オペラシティ アートギャラリー)開幕レポート。遠くの悲劇を、私はどう見るのか【3/3ページ】

 同ギャラリー最大の展示室であるDに足を踏み入れると、思わず目を細めてしまうほどの強い光が鑑賞者を迎える。この250立方メートルにも及ぶボックス作品《サウンド・オブ・サイレンス》(2006)は、8分間の映像が流れる劇場のような空間だ。

 上映されるのは、報道写真家ケヴィン・カーターと、彼が撮影した《ハゲワシと少女》をめぐるエピソードであり、「イメージを撮ること」と「イメージを見ること」の倫理観について問いかけている。8分間、暗闇のなかで映像と向き合うことで、この問題が決して他人事ではないことを、鑑賞者は突きつけられる。

展示室Dの風景より、《サウンド・オブ・サイレンス》(2006)
展示室Dの風景より、《サウンド・オブ・サイレンス》(2006)。ボックス内には、入り口のランプが緑色になったときにのみ入ることができる

 さらに今回の展覧会では、本展のために制作された新作《明日は明日の陽が昇る》(2025)も発表されている。「日本が、なぜこれほどまでにアメリカに対して弱く、依存しているのか。私には理解しきれない部分もある」。そう語るジャーは、日本国旗が映し出されたライトボックスの上に、向かい合うようにアメリカ国旗を配置した。ヒロシマ賞受賞を記念して制作された《ヒロシマ、ヒロシマ》(2023)にも見られるように、ジャーは1945年の原爆投下や、その後の日米関係に対する問いを、繰り返し作品として提示している。

展示室Eの風景より、《明日は明日の陽が昇る》(2025)。作品に近づくと、日本国旗にうっすらと星条旗が映り込む
展示室Eの風景より、《ヒロシマ、ヒロシマ》(2023)。原爆投下の標的となった橋を指し示すアルフレド・ジャー。本作は、飛行禁止区域である原爆ドーム上空において、ドローン撮影として初めて正式に許可が下りた事例となった
展示室Eの風景より、《ヒロシマ、ヒロシマ》(2023)。原爆ドームを真上からとらえたこの映像は、原子力爆弾の視点を想起させ、人間の責任を問いかけるものだとジャーは語る。映像の終盤にはスクリーンが上昇し、大きな音とともに風が吹き抜ける

 「美術界では社会問題をテーマとして扱うことが増えているが、問題があるからこそ作品が存在しているという事実を、私たちは忘れがちなのではないか」。キュレーターの野村は、本展の開催意図としてそう問いかける。世界のどこかで起きている問題に作品を通して触れ、それだけで満足してしまってはいないだろうか。他者の物語をいかに自分ごととしてとらえ、人間が引き起こしてきたことを自覚し、その先へと進むことができるのか。アルフレド・ジャーによる本展は、そうした問いを鑑賞者に投げかけている。

編集部

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