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企画展「綾錦 ―近代西陣が認めた染織の美―」(根津美術館)レポート。染織図案集『綾錦』からたどる、根津嘉一郎の隠れた染織コレクション【4/4ページ】

古更紗裂

 『綾錦』には、第4巻に7件、第8巻に46件の古更紗裂の掲載があり、嘉一郎の所蔵品は、第8巻に10件の裂片が掲載されている。根津家の購入記録からは現存作品の特定が難しかったものの、『綾錦』の精細な版画によって、それが可能になってきているという。

 更紗は、17~18世紀にかけて東インド会社の貿易品として世界を席巻した。日本に舶来した布は、「古渡更紗」として珍重され、嘉一郎は古渡更紗155点を36面の台紙に貼り、折帖にしている。この折帖と『綾錦』の版画を楽しむ。同じ裂ではないか思えるほどの版画のクオリティに、改めて『綾錦』に注力した人々の熱意を感じられるだろう。

『古更紗帖』(インド17~18世紀、根津美術館)の展示
『古更紗帖』(インド17~18世紀、根津美術館)の展示
『綾錦』の図案模写の版画。実際の古裂と比べてみてほしい

 染織の本場・西陣が認めた染織品のきらびやかな競演の空間は、それだけでも新春の寿ぎにふさわしい伝統美と品格をたたえているが、極上の版画技術の粋もまた、京都に培われた精華だ。江戸(東京)の木版画とは異なる妙技を味わってみてはいかがだろうか。

同時開催:呉須手 ―吉祥の器―(展示室5)

 展示室5では、「呉須手(ごすで)」の器が紹介されている。16世紀末~17世紀前半に、中国・福建省漳州(しょうしゅう)市周辺で生産された磁器には、官窯の景徳鎮を模倣しながらも、民窯らしい、おおらかな筆致で吉祥文様が描かれた。赤絵、染付、瑠璃釉など、色味で分けられた会場は、ときに脱力しそうな、ときに吹き出しそうなゆるい楽しさで、福笑いに導いてくれること間違いなし。併せてぜひ。

展示室5 「呉須手―吉祥の器―」の展示風景

編集部

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