能装束
能装束は、第2巻に5件、第6巻に22件が掲載され、6巻の19件(うち、3件は所在不明)が嘉一郎の所蔵品で、掲載全体の7割にあたる。大正6~7(1917~18)年までの展覧会に嘉一郎が出品した作品が25件というから、出品作の約8割が掲載されたことになる。いかに嘉一郎の染織品の鑑識眼が優れていたかが感じられる。


刺繍と金銀箔を組み合わせた「縫箔(ぬいはく)」、綾織地に金銀糸や色糸で模様を刺繍のように立体的に織り出す最高級の織物の「唐織(からおり)」、表着(うわぎ)の下に着用する「厚板(あついた)」、それぞれの技法のすばらしさと、意匠により着用する演目や役割などを思いながらたどってみたい。





















