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「セカイノコトワリ―私たちの時代の美術」(京都国立近代美術館)開幕レポート。90年以降の表現が示すもの

1990年代から現在までの美術動向を紹介する展覧会「セカイノコトワリ―私たちの時代の美術」が、京都国立近代美術館で幕を開けた。

文・撮影=橋爪勇介(ウェブ版「美術手帖」編集長)

手前から、石原友明《世界。》(1996)と小谷元彦《Phantom-Limb》(1997)

 1989年から2010年までの日本の現代美術を対象とする「時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989–2010」が国立新美術館で開催された今年。これに続くように、1990年代から現在までの美術動向を紹介する展覧会「セカイノコトワリ―私たちの時代の美術」が、京都国立近代美術館で幕を開けた。担当学芸員は同館主任研究員・牧口千夏。

 展覧会タイトルにある「セカイノコトワリ」。このカタカナ表記について牧口は、「不安定な社会のうえで大事なことを考えるとき、ヒントを与えてくれる作品と出会うことができる展覧会にしたかった。世界の真理のようなものに触れる場所としての美術館という意味を込めた」と語る。

 本展では、同館がこれまで収集してきたコレクションを基盤に「日常」「アイデンティティ」「身体」「歴史」「グローバル化社会」といったキーワードから、関西のアートシーンに比重を置いた20作家を選定(青山悟、石原友明、AKI INOMATA、小谷元彦、笠原恵実子、風間サチコ、西條茜、志村信裕、高嶺格、竹村京、田中功起、手塚愛子、原田裕規、藤本由紀夫、古橋悌二、松井智惠、宮島達男、毛利悠子、森村泰昌、やなぎみわ)。

 出品点数は約90点にのぼり、そのうち約40点は京都国立近代美術館の収蔵作品となっている。これは同館における2020年代以降の現代美術収集の成果を示す機会であり、作家や他館から借用された作品を加え、作品同士のネットワークを「海図」のような物語として描き出す試みでもある。会場は美術館のロの字型の構造を生かし、ひとつの島から次の島へ渡るように構成されており、各作品がゆるやかにつながりあう。

竹村京の作品群。壁に展示されたのは《Floating on the River》(2021)

編集部