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「セカイノコトワリ―私たちの時代の美術」(京都国立近代美術館)開幕レポート。90年以降の表現が示すもの【3/4ページ】

インスタレーション再展示も軸に

 1990年代以降の現代美術を象徴するインスタレーションも、本展の大きな柱となる。松井智惠による「LABOUR」シリーズ(1993)はそのひとつ。壁には「彼女は労働する」「彼女は説明する」などの言葉が記されており、アーティストの肉体労働や苦痛などの身体的経験を可視化する。見るものを寓話的な世界へと誘う壁の色にも注目だ。

松井智惠の「LABOUR」シリーズ(1993)は1つの部屋で展示されている

 21年ぶりの展示となる石原友明の《世界。》(1996)もメインピースのひとつ。本作は1995年にキリンプラザ大阪での個展で発表されたもの。床に敷き詰められた真鍮板には点字が打たれており、天井から吊るされたシャンデリアを反射する。鑑賞者が床に立つことで自らが作品に映り込み、「見る/見られる」という関係を逆転させるということだけでなく、点字を取り入れることで、その意味を理解するもの・しないものに、異なる世界を提示する。

石原友明《世界。》(1996)の展示風景
床の点字にも注目

 さらに田中功起は、2015年に京都で行われた国際展「PARASOPHIA:京都国際現代芸術祭2015」のために制作した5チャンネルの映像インスタレーション《一時的なスタディ:ワークショップ#1「1946年–52年占領期と1970年人間と物質」》(2015)を再展示。これに加え、当時ワークショップに参加した高校生6名を10年ぶりに集め、各自の立場からこの10年間を語る新作映像《10年間》も見せる。これによって、10年前の作品が見事にアップデートされている。

田中功起《一時的なスタディ:ワークショップ#1「1946年–52年占領期と1970年人間と物質」》(2015)の展示風景

編集部