参加作家のなかでももっとも有名なのは草間彌生だろう。ここで特筆したいのは、パワフルで印象深い草間の作品が、同時代の作家たちの作品と調和しているという点である。草間作品が相対化されるほどの勢いとパワーを、同時代のほかの女性作家たちも持ち合わせていたといえるだろう。

会場の奥の方で紹介されている白髪富士子は、具体美術協会の一員であり、「白髪一雄の妻」でもある。富士子は61年に具体を退会後、一雄の制作を支えるべく自身は制作の一線から退く。当時、戦後の自由な気風の象徴として女性の自立が謳われたいっぽう、そのじつメディアでは根強い「女性らしさ」をラベリングする風潮があった。その「女性らしさ」をかたちづくる要素のひとつとして、女性作家たちを誰々の妻というような役割で認識することも挙げられるが、仮に一雄の妻ではなく「白髪富士子」というひとりの作家としてのみ活動していたら、富士子はどんな作品を生み出し続けていたのだろうか。作品を前にして考えを巡らさずにはいられない。

美術史において正当に語られてこなかった女性作家たちは、どのように自身の表現に向き合い、時代に応答したのか。本展は、そんな問いについて考えながら、激動の時代を生きた作家たちの勢いと挑戦に溢れた作品に向き合える機会となっている。なお同時期に同館で開催されるコレクション展では、「アクション」に関わる作品が紹介されているため、ぜひそちらもあわせてみてほしい。



















