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「静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝」(静嘉堂@丸の内)開幕レポート。「国宝」をキーワードにコレクションを考える【4/4ページ】

 第4章「渡辺崋山と彌之助・小彌太父子」では、岩﨑父子にまつわる静嘉堂ならではの未来の国宝、そして宋元の美術・古典籍で締めくくられる。こちらも前期の展示となる。

展示風景より、左から渡辺崋山《游魚図》(1840、天保11)、《芸妓図》(1838、天保9)、《溪山細雨図》(1838、天保9)

 とくに注目したいのは、文人画家・渡辺崋山の名幅《月下鳴機図》(19世紀前半、江戸時代)と、それを小彌太が丁寧に摸写し、松方正義が詩を添え双幅とした作品を紹介。小彌太の画の才覚が垣間見える一品だ。ほかにも崋山の名画の数々が一堂にそろうのも圧巻といえるだろう。

展示風景より、左から岩﨑小彌太、松方正義《模本「崋山筆月下鳴機図」》(20世紀前半、明治末〜大正前期)、渡辺崋山《月下鳴機図》(19世紀前半、江戸時代)

 万博と国宝というふたつのキーワードを巧みに組み合わせながら、静嘉堂の潤沢なコレクションに新たな視点を与える意欲的な展覧会となっている。

編集部