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「静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝」(静嘉堂@丸の内)開幕レポート。「国宝」をキーワードにコレクションを考える【3/4ページ】

 第3章「未来の国宝!謝時臣『四傑四系図』と菊池容斎の巨幅」では、「未来の国宝」として、中国明清時代の巨大絵画と幕末明治の画壇の重鎮で、明治中後期に隆盛する「歴史画」の先駆者でもあった菊池容斎による巨大絵画を展示。なお、これは前期展示となる。

 明代中期の文人画家・謝時臣の《四傑四系図》(1551年、嘉靖30)は、四季山水でありながらも、各幅それぞれに中国古代の英傑4人が描かれている。誰が主役かが容易に理解できる視線誘導を考慮した構図や、人物の豊かな表情など、謝時臣の傑作といえる。

展示風景より、謝時臣《四傑四系図》(1551年、嘉靖30)

 いっぽう、江戸末期から明治に活躍した菊池容斎の《呂后斬戚夫人図》(1643、天保14)と《馮昭儀当逸熊図》(1841、天保12)は、日本の掛軸としては異例の大幅であり、中国前漢の傑女の説話に取材している。政敵となり得る女の四肢を切断する残虐な呂后と、襲い来る熊に一人立ちはだかる馮昭儀が描かれた両作は、奇怪かつ残虐で独特の味わいがある画題が印象に残る。

展示風景より、左から菊池容斎《呂后斬戚夫人図》(1643、天保14)、《馮昭儀当逸熊図》(1841、天保12)、謝時臣《四傑四系図》(1551年、嘉靖30)

編集部