「CHANEL Presents la Galerie du 19M Tokyo」に見る、シャネルの“メティエダール”

六本木ヒルズの東京シティビュー&森アーツセンターギャラリーを会場に、「CHANEL Presents la Galerie du 19M Tokyo」がスタートした。シャネルと関係する職人技術、シャネルにインスパイアされたアーティストたちの表現が天空のギャラリーに集結。会期は10月20日まで。

文・写真=中島良平

ATTA《フェスティバル・インスタレーション:手仕事の美を称える》。創業3年後の1953年よりガブリエル・シャネルが協業をスタートしたジュエリー工房「ゴッサンス」の展示

 2021年、シャネルによってパリに設立された「le 19M(ル ディズヌフエム)」。700名におよぶファッションとインテリアの技術を有する職人たちが入居するこの複合施設には、「la Galerie du 19M(ラ ギャルリ デュ ディズヌフエム)」と名付けられたオープンスペースがあり、テンポラリーに職人たちの作品を紹介する展示が行われる。

 このシャネルの“メティエダール(技術と芸術性に裏打ちされた手仕事)”観を具現化した複合施設が、企画展のかたちで六本木ヒルズ森タワー52階に居を構えることとなった。展示タイトルは、「CHANEL Presents la Galerie du 19M Tokyo」。東京シティビュー&森アーツセンターギャラリーで10月20日まで開催されている。

展示風景より、ATTA《フェスティバル・インスタレーション:手仕事の美を称える》

 展示は、「le 19M」を「伝統」と「革新」が交差する生きた証と捉えた建築家の田根剛率いるATTA(Atelier Tsuyoshi Tane Architects)による《フェスティバル・インスタレーション:手仕事の美を称える》でスタートする。田根は次のようにコメントを寄せている。

 「本インスタレーションは、手仕事の価値を強調し、その技術と知識を次世代へと受け継ぐための強い意志の表れです。建築、ファッション、その他の表現を通じてクラフト位に光を当てること—そのすべての行為が、職人の技を守り、人間らしい創造の本質を称えるために不可欠です」。

 世代を超えて受け継がれてきた多様な技術──帽子や靴づくり、刺繍、彫金や鍛金技術から、インテリアデザインまで──に垣間見えるのは、「民の文化の喜び」であることが、賑やかで華やかなこのインスタレーションを通して伝わってくる。展示最初の仕掛けによって、一気にメティエダールの世界に引き込まれるはずだ。

ATTA《フェスティバル・インスタレーション:手仕事の美を称える》より、刺繍とツイードを中心とするテキスタイルを専門とするルサージュの展示
ATTA《フェスティバル・インスタレーション:手仕事の美を称える》より、建築刺繍という新たな技術を提案するスタジオMTXの展示
ATTA《フェスティバル・インスタレーション:手仕事の美を称える》より、帽子やヘッドアクセサリーを手がけるメゾン・ミッシェルの展示