第2章「高知の夏祭り」では、屏風を絵馬台(台提灯)に飾る高知の夏祭りが再現されている。見上げるほどの大きさであるため、対面するかたちで見た第1章の芝居絵屏風ともまた印象が異なる。


芝居絵屏風を飾る祭りは、赤岡町のほかでも開催されており、本章ではそのうち3つの神社で組み上げられる絵馬台を再現している。台に設置された木札は、実際に神社で使われているもので、キャプションの役割を持っている。

高知市朝倉の朝倉神社では、参道をまたぐ山門型の絵馬台が6台組み上げられる。1台につき表裏計4点の芝居絵屏風をはめることができ、人々はその絵馬台をくぐるようにして拝殿に向かう。この祭りは毎年7月24日に開催されている。

香美市土佐山田町の八王子宮には、5点の屏風を飾るための大型の「手長定長(てながあしなが)絵馬台」が使用され、近年では2019年7月24、25日の夏の大祭で披露された。地元の宮大工・原卯平(はらうへい)によってつくられたもので、絵馬台自体に様々なモチーフの彫刻が施された装飾的なものになっている。

氏子の高齢化や屏風の劣化などの理由により絵馬台の数は年々減少しているが、昨年、数年ぶりに絵馬台が組まれる神社もあり、文化の継承を積極的に行う動きも見られる。
また本章では、行燈絵とも呼ばれる絵馬提灯も紹介されている。絵馬提灯は、毎年新調されていたため現存作は非常に少ない。しかし近年「釜淵双級巴(かまがふちふたつどもえ)」という作品が発見された。本作には石川五右衛門を主人公にした芝居が描かれているが、一部読本や芝居にはない場面も登場する。もとは25点だったが、「第十七」が抜けた24点で現存しており、そのすべてが紹介される貴重な機会となっている。会場では、右側から順にストーリーが展開される並びとなっており、生々しい描写とともに、主題となったストーリーを追える構成となっている。





















