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「再考《少女と白鳥》 贋作を持つ美術館で贋作について考える」(高知県立美術館)開幕レポート。科学調査による真贋判定の軌跡から見つかる新しい作品への向き合い方

科学分析調査などを経て贋作だと判断された高知県立美術館所蔵のハインリヒ・カンペンドンクの油彩画《少女と白鳥》が公開される、特別展示・調査報告「再考《少女と白鳥》 贋作を持つ美術館で贋作について考える」が開幕した。会期は第1期が25日まで、第2期は10月4日~19日。

文・撮影=大橋ひな子(ウェブ版「美術手帖」編集部)

展示風景より、ハインリヒ・カンペンドイグを詐称したヴォルフガング・ベルトラッキ《少女と白鳥》(1990年代)高知県立美術館蔵

 科学分析調査などを経て、贋作だと判断された高知県立美術館所蔵のハインリヒ・カンペンドンクの油彩画《少女と白鳥》。同作を、収蔵の経緯や科学分析の内容とともに紹介し、作品の真贋を再考する特別展示・調査報告「再考《少女と白鳥》 贋作を持つ美術館で贋作について考える」が開幕した。会期は第1期が9月13日〜25日、第2期は10月4日~19日。

 2024年、カンペンドンク《少女と白鳥》に贋作疑惑が浮上した。その後同館は京都大学准教授・田口かおりと協力して科学分析調査を行い、来歴や証拠資料などを含めて総合的に検討した結果、今年3月に贋作だと判断。同館は、「再考《少女と白鳥》 贋作を持つ美術館で贋作について考える」展を開催し、該当作品を公開することを決定した。購入・収蔵の経緯や実施した科学分析の内容もあわせて紹介することで、様々な角度から作品の真贋について「再考」する機会をつくることを目指す。

 本展は、該当作品のみを展示するのではなく、全4章構成の展覧会として企画することで、芸術分野における真贋をめぐる諸問題について議論の場を生み出すことを試みる。

編集部