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「幕末土佐の天才絵師 絵金」(サントリー美術館)開催レポート。芝居絵屏風で知られる絵金の画業に迫る【2/5ページ】

 絵金といえば、で知られる「芝居絵屏風」は、歌舞伎や浄瑠璃のストーリーを絵画化したもの。その多くが神社や自治会などに分蔵されており、それらをまとめてみられる機会は滅多にない。本展は全3章を通じて、絵金の代表ともいえる芝居絵屏風をはじめとした作品を一挙に紹介し、絵金について理解を深められる機会となっている。

展示風景より

 第1章は「絵金の芝居絵屏風」と題され、絵金の基準作として知られる、香南市赤岡町の4つの地区が所蔵する芝居絵屏風が展示されている。高知県に現存する約200点の芝居絵屏風類、その多くが2つに折り曲げることのできる二曲一隻の形態だ。一部を除いて神社や公民館、自治会などで管理されており、現在でも神社の夏祭りで実際に使用されている。

 夏祭りでは、当然外に芝居絵屏風が置かれるため、時間帯によっても見え方は異なる。本章では展示ケースに入れられた状態で展覧されるが、少しでもその見え方の違いを体感できるように、照明の明度や色味を一定の時間内で変化させている。

展示風景より、《伊達競阿国戯場 累》 香南市赤岡町本町二区

 屏風には、ひとつの画面に複数の場面が描きこまれる異時同図法が使われており、時間経過を伴う芝居のストーリーが1枚のなかで展開されている。もととなる歌舞伎や浄瑠璃の演目内では表現しづらい鮮烈な場面が、成人の背丈くらいの大きさの二曲一隻に極彩色で描かれ立ち現れるため、近くで見るとよりその迫力が伝わってくる。

展示風景より、《浮世柄比翼稲妻 鈴ヶ森》 香南市赤岡町本町一区

編集部