会場入ってすぐのところには、滝を描いた掛け軸などが展示されており、ベンチに腰掛けながら、まるで床の間にいるような感覚で作品と対峙する体験ができる。

また窓際に並ぶ《水玉透鉢》には、器自体の薄さにも関わらず、綺麗な穴がたくさん開けられている。液体を入れることはできないが、葉っぱを敷いた上にお菓子を載せて出せば見た目も涼しげだろう。展示されている器に自分だったら何を盛りつけるかなど考えてみると、作品の見え方も変わってくる。

また同館が所蔵する、重要文化財に指定された《染付龍濤文天球瓶(青花)》も見逃せない。白地に青の染め付けがされた本作は、荒波のなか天に向かって飛ぶ白龍の姿が浮かび上がるようになっている。天球瓶といわれるこの陶器は、ふくらみのある胴に、すらりと首が伸びた瓶のことを指す。まるで天体(天球)の様子を表したように見えることからこのように名づけられた。本作は世界に数点しかない大変貴重なものだ。

猛暑のなかやっとたどり着いた最初の展示室を、涼の季節に茶会に招かれたような感覚で、涼しみながら楽しんでもらいたい、という同館の粋な企画意図が、随所に感じられる空間となっている。



















