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「つくるよろこび 生きるためのDIY」(東京都美術館)開幕レポート。つくる、その目的の先にあるもの【4/7ページ】

 野口健吾は1984年神奈川県生まれの写真家だ。東京藝術大学大学院美術研究科修了後、路上生活者、バックパッカー、巡礼者、インドのチベット難民、ネパール地震に直面した辺境の村の家族など、多様な人々を撮影しながら、写真・映像作品を制作している。

 本展で展示されている「庵の人々」シリーズは、川辺や公園で独自の生活空間を構築している人々の姿をとらえた写真群だ。経済的理由であったり、あるいは自ら好んでいたりと、そこに住む理由は様々ながら、そこには都市の廃棄物を利用した、たしかなDIYの精神が存在している。

展示風景より、左が《庵の人々 大阪府大阪市淀川区》(2016)と《庵の人々 大阪府大阪市淀川区 台風21号後》(2018)

 また、10年にわたり幾度も現地を訪れている野口は、そこに住む人々の変化も写し取る。台風によって家が崩壊してしまったり、あるいは家の意匠が変化したり、住人が変わったりといった、有機的にあり続ける家のかたちを見ることができる。

編集部