第2会場の詩とメルヘン絵本館で開催されているのは、企画展「ダン爺な編集長・やなせたかし」。生い立ちを年譜で振り返りながら、やなせの晩年の作業机の再現や、多彩なワードローブなど、やなせ自身の人となりが垣間見えるプライベートな資料が展示されている。
館名の由来となっている、やなせが30年間作り続けた雑誌『詩とメルヘン』359冊が一挙展示されているのも注目ポイントだ。『詩とメルヘン』は、1973〜2003年までの30年間にサンリオから出版された月刊誌で、やなせたかしが構想し、創刊から最終号まで編集長を務めたもの。「世に埋もれた星層のような詩を拾い集めよう」というコンセプトをもとに、一般読者から募集した詩とイラストを掲載するというユニークな雑誌であった。

またやなせのワードローブを展示するスペースには、個性的なデザインの洋服が並ぶ。やなせはスタイリストをつけずに自分でコーディネートをしていたため、これらはすべてやなせの私物となる。アンパンマンモチーフがあしらわれた靴下やネクタイもお気に入りだった様子。

壁面に展示される年表には、やなせが何歳のときにどんな作品を生み出していたのかが明記されている。多面的なクリエイターであったやなせといういち人間の、94年間の壮大な人生を追体験するような内容だ。

会場奥にはやなせたかしの新宿区にあったアトリエのデスクが再現され、会場に掲示されているアシスタントのコメントからは、やなせの口癖やルーティーンが紹介されている。普段知ることのできない作家としての一面を垣間見ることができる。




















