絵画部門を受賞したピーター・ドイグは1959年スコットランド生まれ。現代美術における絵画の一潮流「新しい具象(ニュー・フィギュラティブ・ペインティング)」の代表的な画家として知られている。「絵を描くためのインスピレーションはいつも過去の記憶のページから生まれてくる」と語るように、写真や絵はがき、映画などから得たイメージや過去の記憶をもとに豊かな色彩と独特な筆致で風景や人物を描くことからも、世界でもっとも重要な画家のひとりであると評価されている。

At his studio in London, April 2025
© The Japan Art Association / The Sankei Shimbun
ドイグは幼少期を過ごしたトリニダード・トバゴや北米カナダの環境的影響を強く受けており、その経験が視覚的感性の形成にもつながっているという。
代表作のひとつ《のまれる》(1990)はホラー映画『13日の金曜日』から着想を得て描かれているほか、《ラペイルーズの壁》(2004)には日本の映画監督・小津安二郎による『東京物語』の影響も含まれている。1994年にはターナー賞にノミネートされたほか、2008年にはルートヴィヒ美術館現代美術協会よりヴォルフガング・ハーン賞を授与された。

Peter Doig, Swamped, 1990
Oil on canvas 197 x 241 cm
© Peter Doig

Peter Doig, Lapeyrouse Wall, 2004
Oil on canvas 200 x 250.5 cm
© Peter Doig



















