2020.5.13

「画家の中の画家」ピーター・ドイグが語る、絵を描き続ける理由

イギリスを代表する画家、ピーター・ドイグの日本初個展が東京国立近代美術館にて開催。『美術手帖』6月号の「Artist Interview」では、開催直前に来日にした作家に、初期から現在に至るまでの変遷や絵画を描き続けることに対する考えを聞いた。

東京国立近代美術館の展示会場内、《ペリカン(スタッグ)》(2003)の前にて 撮影=西田香織
前へ
次へ

 絵画という伝統的なジャンルと長年向き合い続けてきたピーター・ドイグ。彼の日本初個展が、東京国立近代美術館にて開催されている。初期作から最新作までを含む油彩画32点と、直筆ポスター40点が展示され、ドイグのこれまでの画業を時系列的に総覧することができる(現在新型コロナウイルスの感染拡大防止のため臨時休館中)。

 『美術手帖』6月号では、開館前の2月下旬に、ドイグへのロングインタビューをおこなった。聞き手は、美術評論家の松井みどり。ともに展覧会場をめぐりながら、本展の展示に沿って、これまでの変遷や、絵画を描き続けることに対する考えをじっくりと聞いた。

「抽象的技法と具象的主題の両方を重視する私のやり方は、周囲にはなかなか理解されませんでした。教授も学生仲間も『なんで抽象画のなかにカヌーが描かれているんだ』と不思議がり、それは私の冗談だと思われていたのです」

のまれる 1990 油彩・キャンバス 197×241cm ヤゲオ財団コレクション、台湾
©Peter Doig. Yageo Foundation Collection, Taiwan. All rights reserved, DACS & JASPAR 2020 C3120

 1990年代、チェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインの修士課程時代に描かれた《のまれる》(1990)を見ながら当時を振り返る。その頃から、自身の絵画の方向性をはっきりと認識したと言う。

 ドイグは2002年に、トリニダード・トバゴに移住。イギリス拠点時代との作風の変化についても、インタビューで答えてくれた。

「例えば《スキージャケット》のような点を描き続けることの誘惑は大きかったのですが、だからこそ同じスタイルを使わずに、それでも人を魅了する絵画を描きたいと思いました。ここにある絵はどれも、その工夫を示しています。《スキージャケット》から離れたくて、リアリズム的手法も故意に取り入れました」

ラペイルーズの壁 2004 油彩・キャンバス 200×250.5cm ニューヨーク近代美術館蔵
©Peter Doig. Museum of Modern Art, New York. Gift of Anna Marie and Robert F. Shapiro in honor of Kynaston McShine, 2004. All rights reserved, DACS & JASPAR 2020 C3120
ポート・オブ・スペインの雨(ホワイトオーク)  2015
水性塗料・麻 301×352cm 作家蔵
©Peter Doig. Collection of the Artist. All rights reserved, DACS & JASPAR 2020 C3120

 また、インタビュー本編では、《ポート・オブ・スペインの雨(ホワイトオーク)》(2015)や、近作の《水浴者(カリプソを歌う)》(2019)に秘められた制作過程についても言及している。

 絵画と向き合い続け、いまなお自分のなかの新しさをつねに生み出し続けているピーター・ドイグ。彼が絵画を描き続ける理由、そして「画家の中の画家」と呼ばれる所以とはなにか。ぜひ本誌のインタビューを読んで探ってみてほしい。

『美術手帖』6月号より