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過小評価されてきた女性アーティストたちに光を当てる。フランスの非営利団体「AWARE」の日本語セクションが開設【3/3ページ】

 さらに、カルティエの助成によるプログラム「19世紀から21世紀の日本の女性アーティスト」は、19世紀から21世紀にかけて活躍した女性アーティストに関する研究を通じて、女性アーティストの歴史とその世界的な貢献を明らかにしようとしている。この4年間にわたる研究プログラムでは、現代美術、写真、日本画、洋画などの分野で活躍した日本の女性アーティストたちに焦点を当て、30人の女性アーティストの略歴と作品を新たに紹介し、近現代日本の女性アーティストをめぐる評論文を10編掲載することを目標として進められている。

「AWARE - 日本」のウェブサイト

 今年で完結するこのプログラムだが、メンバーのひとりである小勝禮子(プログラム特別顧問、研究者、美術史家、美術評論家、元栃木県立美術館学芸課長、「アジアの女性アーティスト:ジェンダー、歴史、境界」創設者)は、今後は日本だけでなく、アジアの国々の女性アーティストに対するリサーチをAWAREに継続していってもらいたいとしつつ、日本の美術館においてより多くの女性アーティストの掘り起こしや検証の展覧会の開催に対する期待を寄せている。

 また、今年の新たなプログラムとして、丸川コレクションによる助成を受けている「日本の女性写真作家たち」の研究が始まる予定で、日本の女性写真作家に関する研究をさらに深め、拡大することを目指している。

パリ15区のヴィラ・ヴァシリエフに拠点を持っているAWARE © Margot Montigny

 パリ15区のヴィラ・ヴァシリエフ、1910年代にアーティストのマリー・ヴァシリエフがアトリエを構えていた場所に拠点を持っているAWARE。ウェブサイトでのコンテンツ公開だけでなく、3800冊以上の蔵書を持つ図書館や女性アーティストとフェミニズム芸術に特化した研究・資料リサーチセンターの運営、そしてレジデンシー・プログラム、イベント、会議、学校向けのワークショップ、AWARE賞など、様々な取り組みを行っている。とくにAWARE賞はこれまで15名のアーティストが受賞しており、モリノーは「日本でもこの賞を行い、受賞者を出したい」という期待を語っている。

 専門家だけでなく一般の人々にも有益なリソースを提供し、今後も多くの女性アーティストに光を当て、彼女たちの功績を美術史に定着させるための重要な役割を果たし続けるAWARE。その活動を引き続き注視していきたい。

編集部

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